ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■タオラーの秘密。
喫煙者がタバコを離せないように、息子・タク(5才)もタオルを離せない。

どこに行くにもハンドタオルと手に持ち、口と鼻に当ててふんふんしている。いや、たったひとつだけ持って行かない場所がある。

先日幼稚園でのイベントごとがあるので僕がタクを送ることになった。家を出る直前までタオルをふんふんしていたのだが、扉を開けてさあ出掛けるぞって時に

「あっタオルはおいてく!」

タオルを家の中へぽーんと投げ込んだのである。そう、幼稚園にだけは絶対持って行かないんである。幼稚園のみんなにはタオルふんふんする姿は見られたくないようで、幼稚園にいる間はガマンしているのである。

さて、幼稚園の夏休みもいよいよ終わりが近付いてきて、「なつのおもいで」という一応宿題みたいなモノをやらなければならないらしい。楽しかった思い出を文にして書くのだが、それに写真を添付するんだという。

「夏の間に撮ったいい写真ないかな?」

と嫁に言われたのでタクと探してみることにした。夏の思い出、か。中にはエーゲ海で過ごしました、みたいなセレブもいるんだろうが、ウチはほぼ都内から動いていない…。

「これがいいかな」

「うん、これがいい」

パソコンで画像のデータを眺めながらタクと選んだのは、近所の盆踊りで、甚平を着てわたあめを手に持って満面の笑みを浮かべた写真であった。いかにも夏って感じでよかった。

「じゃあこれを印刷するわ」

とプリントアウトしようとしたら、タクが

「まって!これタオル写ってないよね?」

もの凄い勢いでストップをかけるものだから

「ないよ!そこまで恥ずかしいんか!ぶわははは」

思わず笑ってしまった。

「そこまで恥ずかしいんならそろそろタオル卒業したら?」

「やだー」

まるで禁煙する前の僕を見る思いだ。それにしても「夏の思い出」という宿題は家庭事情がモロに出てしまってやだなあ。確か「冬の思い出」という宿題もあったような記憶が…。宿題に備えて、冬休みはどこか暖かいところへ旅行でもしようかと考える僕である。

タオルだけに九州(吸収)がいい、なんちて。

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09月01日(木)
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