ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
[5183198hit]
■とまっとさんでした。
学校で娘・R(7才)の三者面談があったのだという。子供達が寝静まってから嫁が担任から聞いてきたことを語った。
「今、みんなが育ててるプチトマトあるでしょう?」
「うん。見たことある」
土日でも「開放図書室」ということで、学校の図書室が開いている。ちょっと前Rと息子・タク(5才)を連れて行った時、中庭にプチトマトの鉢がずらりと並んでいたのを見た。Rのを見ると、まだ緑のものがいくつかぶら下がっていたので、今頃は赤くなっているのではないだろうか。
「それが食べられちゃったのよ!」
「えー。虫に?」
「いえ、アキちゃん(仮名)に」
「はあ?アキちゃん?」
アキちゃんというのは、いつもRと一緒に登校する近所の同級生だ。クラスは違うが。蛾の幼虫が実を食い荒らすのはよくあることだが、アキちゃんが何故。僕は理解出来なかった。しかし嫁が説明するところによると、
「朝、観察しようとしたら成ってるはずのプチトマトがないんだって。Rのだけじゃなく何人も。それでおかしいってことで先生が動いて調べることにしたんだって。で、隣のクラスからアキちゃんが先生に連れて来られて、『私が食べました。ごめんなさい』って。十何個も食べたらしいよ」
「えー!」
僕トマトキライだからそんな食えるなんて驚きだ。いや、驚くのはそこじゃない。お菓子とかデザートとか子供が好きそうな食べ物なら分からないでもないが、成ってるトマトである。そんなものを食うところに相当腹を減らして切羽詰まってた感が伝わってくる。今時そんなハングリーなのって…。敗戦直後か北朝鮮のような話だ。
でもよく考えてみるとだんだん分かってきたような。僕も登校するR達と途中まで一緒に行くのだが、アキちゃんはいつも家から出て来るのが遅い。
「アキは遅いから待ってなくていいよ」
とアキちゃんのお姉ちゃんが言い、こちらも遅刻になってしまうので見切り発車してしまうこともしばしばだ。間に合った時でも髪の毛もボサボサで顔もボーッとしていて、寝起きそのまんまのこともよくある。だから朝ご飯も食べてないし、お腹を空かせていたのだろう。
「で、アキちゃん家からはなんか言ってきたりした?」
と聞いてみたら「別に」と嫁は言う。僕がアキちゃんの親だったらすっ飛んでオヤツでも持って詫びを入れると思うのだが…。
「あ、もしかしたら本人からも担任からも聞いてないのかな?」
「かもねー」
ちょっとしたケンカとかトラボーぐらいならいちいち担任も伝えないだろうけど、これはちょっとそのボーダーを超えているのではないだろうか。
Rを含めた子供達はすごいガッカリしていると思うし、一応「盗み」だし、その動機は空腹のためで、それは朝ギリギリまで起きられないからゴハンを食べられないからで、何故起きられないかというと、親がちゃんと早寝早起きさせていないせいなわけで。
よそさまの子供のしつけにケチを付けるなんてことはしたくないけど、被害というか食害を被ってしまったのでそれぐらいは書かせてもらってもいいと思う。
「でも、ウチが伝えられているぐらいだから本人の親に伝えられていないはずはないだろ!」
「そうかなー」
まあしょっちゅう顔を合わせるご近所さんのことだし、
「おっちゃんトマトキライだから今度僕の分も食べてよ!」
ガハハ、ぐらいで流しておくのがベターなのかしらん。いずれにせよそれも向こうの親がなんかしら言ってきたことに対してのことなので、親がダンマリというのは問題だ。些細なことと言われるかもしれないが、小さいながらもわだかまりが残る。和田カマリと書くと日系ブラジル人みたいである。
で、肝心の三者面談の本題はどんな話が出たのかというと
「トマト盗み食いの話がインパクトでかすぎて忘れちゃったわ」
それはそれで問題だ。
トマトは、原価割れの商売とよく似ている。
どちらも売(熟)れたら赤(字)になる!
応援クリックよろしくです。
[5]続きを読む
07月09日(土)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る