ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■不審者対策に腐心する。
夜、子供達が寝ようとしているタイミングで帰って来た僕は
「いっしょにねるー」
娘・R(7才)と息子・タク(5才)と共に布団に転がった。タクは
「ねーむーい!」
と叫んでいる。だから寝ろっつーの。眠いと叫びながらも
「ねえパパ、あのねえ」
と話しかけてくるアンビバレントな坊主頭の小坊主君。
「なんだい」
まあ色々話しかけてくれるうちが華であるよ、と思い聞き上手に徹してみると
「今日、怖い夢みたの」
と言う。
「へえ。どんな夢?」
「おしえない」
「おーまーえーはー」
別にどんな夢だっていいんだよ!他人が見た夢と映画のストーリーを話されることほどつまらない話はないという。まさにその通りで別にタクが何の夢を見てもわりとどうでもいいのであって、僕は会話を続けること自体を楽しんでいるというのに、この息子ときたら…。
僕がプンスカしている様子を見て、流石に5才児といえど空気を読んだようであり、
「あのね、知らない人に水に沈められた夢なんだよ」
と白状した。オバケに追いかけられた、とかそういうファンタジー系な夢を予想していたに、本当にありそうな変質者系のリアルっぽい話だったので、タクが水中に沈められている姿を想像してしまい、僕も本当に怖くなってしまった。
「あ、でも、君、泳げるじゃん」
と膝を叩いたら
「ママとおんなじこと言ってるー!」
Rがケラケラと笑った。タクは
「ママにも言ったけど、泳げないくらいせまくて深かったの」
妙に稲川淳二ライクな無駄にシリアスな顔で語った。
「うーん。まあ、世の中変な人が多いから、知らない人にはついてっちゃダメだよ」
「うん!」
ふたりは当然とばかりに頷くが、
「Rもタクもカワイイから『あっあの子カワイイなあ…連れてっちゃお』って思う変なおじさんとかいるかもしれないからね!」
と釘を刺しておくと
「でへへ」
カワイイと言われてまんざらでもない笑みを浮かべる二人はちょっと甘い言葉をかければすぐ付いて行ってしまいそうだ。
「いいですか。おかしあげるとか言われてもダメだよ!」
「うん!」
「パパの友達だからって言われてもダメだよ!」
「うん!」
「もしパパの友達だったら『パパが生まれたところはどこでしょう』ってクイズ出しなさい」
「うん!」
思わぬ所から不審者対策の話になってしまった。Rもタクも話を真面目に聞いてしまって、
「Rちゃん、土曜日お出かけするとき、防犯ブザー持って行くことにする!」
急激にリスクへの意識が高まり、
「いや、パパかママが一緒の時は大丈夫だよ」
「そんなことないもん、駅通るもん。駅は人がいっぱいだからはぐれちゃった時怖いもん!」
おおっ。僕よりレベルの高いリスク想定…!これで僕がそんなことないから大丈夫!と言ってしまって実際にRがはぐれてしまったら、僕、東電みたいにボロクソに叩かれるんだろうなあ。
街は子供のみならず大人も攫われる危険で一杯である。昔、よく歌舞伎町を歩いていた時があったが、その時よく
「オッパイスキ?オッパイスキ?オッパイスキ?オッパイダヨ!」
「オ○ンコですけど」
などと謎の呪文のような言葉を投げかけてくるおじさんがいた。必死に振り解こうとしつつも、オッパイ好きだったらなんなんだよ!お○んこだったらなんなんだよ!という疑問に囚われ、ついつい知らないおじさんに付いて行きそうになったことが何度も会った。本当についてったらひどい目に遭ったのかなあ…。
そんなバカなことばかり考えていると、そのうち子供らに「いらないおじさん」とか言われそうであり、知らないおじさんよりこっちのほうが心にくるなあ。
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07月01日(金)
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