ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■哀哀傘。
息子・タク(5才)愛用の傘の骨が折れてしまった。
何故折れてしまったかは分からないという。お気に入りの傘なので、チャンバラとかそんなムチャな使い方はしてないはず。おそらく傘立てから取り出す時などに引っ掛かって折れてしまったのではないかと思う。
「傘直せる店この辺にあったっけ?」
と嫁。
「あるよ。使ったことないけど。でも直すにも結構いい値段取られるんだよね…300円とか500円とか…」
僕は100円傘愛用の貧乏人である。しかしタクお気に入りのポケモンの傘だし、梅雨に入りたてだし傘がないと困るだろうと思い、この父が自ら雨の中傘修理の店に行ってやろうじゃないのさ、ということで商店街の一角にある古い店に赴いた。
そこはよくある合鍵作成・靴修理・カバン修理などもやってくれる修理屋さん。カラカラとガラス戸を開けると、いかにも職人って感じのちょっとムスッとしたオヤジさんがいた。
「あの…ココが折れちゃったんですよね…」
僕が恐る恐るタクの傘を広げ、折れた骨を添えて見せてみると
「あー、あんま短く折れちゃうと繋げないんだよね」
「えーっ」
なんと、修復不能なのか…とガックリ来たら
「あ、でも出来るわ」
どっちだよ。難しい修理であるというイメージを植え付けさせ、お高いお値段にする作戦なのかと思ったが
「100円でいいよ」
「は?」
「100円」
安っ!と思わず叫んでしまいそうになった。そんな駄菓子屋みたいな料金設定でやってけるんだろうか…と余計なお世話な心配をしてしまった。
「この紙にお名前を書いてね。15分ぐらいで出来るから。あと前金なんで…」
「はいはいお渡しします」
100円なので前金だろうが玉金だろうがオッケーである。で、15分と言われたが、10分後ぐらいに店を覗いてみると既にタクの傘が立てかけてあったので
「どーもー。取り来ましたー」
「はいはい、それですよ」
広げてみるとキレイに骨接ぎされていて完璧。
「ありがとうございました」
礼を言って店を出た。早いし安いし口よりも手を動かすぜ、って感じでよいなあ。家に帰って100円だったことを嫁に話すと
「すごい安いねえ」
珍しく感心していた。僕が買い物をすると「○○の方が安かった」とすぐケチを付けるので僕もちょっと得意気になった。
「タク、直ったぞー」
そして肝心の持ち主に骨接ぎしてもらったところを見せてやる。するとタクは
「ふーん。じゃ、たたんでしまっといて」
一瞥しただけでぷいっと行ってしまった。か、かわいくねー!
傘の骨は直ったが父の骨と心が折れたざんす。
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05月31日(火)
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