ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■息子の晴れ舞台決定。
嫁から聞いた話。
息子・タク(5才)が
「幼稚園の運動会で『はじめのことば』をやることになったのよ!」
運動会の冒頭で行なわれる選手宣誓っぽいことをやる子に決まったらしい。
「すごいね。超目立つじゃん」
運動会やらお遊戯会やら、イベントごとで我が子の見せ場が増えて喜ばない親はいないが、
「なんでウチの子が」
とも思わないではいられない。
「たっくんならできると思って〜」
と担任は言っていたようだが、
「小さい子の中から出来そうな子を選んだのではないか」
と嫁は分析する。タクはクラスの中では背の順で前から6番目ぐらいなので大きい方ではない。そして運動会で目立つ子とそうでない子の差が出るのは鼓笛隊である。
鼓笛隊の中で指揮者や旗手、太鼓、鉄琴といったパートになった子供達は、隊の前の方だしひとりひとりの間隔がゆったり空いていて目立つことが出来る。
しかしそれらのパートから漏れた子達はその他大勢のピアニカ隊になってしまう。隊の一番後ろだし、雑兵部隊みたいな扱いで密集してるし、どこにいるのか分からないぐらい目立たない。目立つパートとは雲泥の差である。
どうやって選ばれるかというと、先生方が背の大きな子から順番に決めてしまうんである。大きなこの方が見映えがいいから、という理由らしい。
娘・R(7才)が幼稚園の時は、学年で一番小さかったので勿論ピアニカだった。なんでそんなに露骨に差を付けるのか…。卒園アルバムにも見せ場があるこの方が露出度が高くなるに決まってる…と不満を抱いたものだが、クレームを付けてもモンペ扱いされたらやだなあ、とか、肝心のRが目立つの大嫌いな子でピアニカになって大喜びしていたこともあり、小心者の僕は我慢する他なかった。
「小さい子は鼓笛隊で目立てるチャンスがないから、『はじめのことば』は小さい子優先で選んでるのではないか」
というのが嫁の推測だ。ふーん。ああいうのはクラスの優等生っぽい子がやるもので、タクはどう見ても『はまじ』系なおちゃらけキャラだと思っていたのに。いずれにせよ先生に『できる』と見込まれたのだから大したものである。早速
「タク、『はじめのことば』はもう覚えたか」
僕はうきうきしてしまいタクに聞いてみたが
「まだきまってないよ!」
そりゃそうだ。運動会はまだ何ヶ月も先のことなのだ…。いっそのこと僕が考えてしまおうか。出来るだけタクの見せ場を増やすために出来るだけ長いスピーチを考えよう。
「え、私、ご紹介にあずかりました年長組のタクと申します。本日はお忙しい中お集まりいただきまして心より御礼申し上げます。また、運動会開催に当り先生方およびご父兄の皆様の多大なご尽力をいただき誠にありがとうございます。お陰様で本日は絶好の運動会日和となりました。私達園児一同も今日この日のために一生懸命練習を致しました。僭越ではございますがご氏名により乾杯の音頭を撮らせていただきます…」
しまった。途中から宴会用スピーチになってしまった。第一タクが覚えられるわけがねー。確か過去の記憶を辿ると、
「こーれーかーらー、うんどーかいをー、はーじーめーまーす」
みたいなシンプルな宣言だったように思う。妙にひと文字ひと文字の間が伸びまくった口調で、『はーじーめーまーす』の『ま』に一番強いアクセントがある。そんな感じになるんだろうな、きっと…。
僕も今夜
「これから、夜の運動会を、はーじーめーまーす」
と言いたいところだったが、競演者にとっとと寝られてしまったので中止になりました。
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05月27日(金)
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