ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
[5183207hit]
■お前のことがすき家。いえ、ここは、なか卯です。
とある事情で娘・R(7才)とふたりだけでお昼を食べることに。
めんどいのでおにぎりとかでいいかなーと思っていたが
「Rちゃん、れすとらんで食べたい!」
期待が込められたキラキラとした少女の瞳を曇らせることは僕には出来ず。
「じゃあどこかに食べに行こうか…」
そういえば女の子とふたりで食べに行くなんて久しぶりなので、小じゃれた洋食屋でも行くかい、とRの手を引いて歩いていたら牛丼のなか卯のそばを通りかかった。
「なか卯って〜♪んーふふーふ♪
なか卯って〜♪んーふふーふ♪
なか卯って〜♪ごーはんを食べよー♪
なか卯っ!」
なか卯っ!まんぼっ!と合いの手を入れたくなるようなテーマソングがループされていた。
(聞きたい方はこちら→なか卯テーマソング)
今もやってるか知らんが、種とも子が歌ってた
「デニーズ、デニーズ、ちゅーるっちゅっちゅっちゅーわぁ」
というデニーズのテーマソングみたいに中毒性がある。Rも大喜びで歌い出すし。ところが歌うだけかと思ったら
「ここがいい!」
テーマソングにつられて店内にフラフラと入ろうとするし。ハーメルンの笛吹き状態。
「えー。なか卯はレストランじゃないよ」
一応引き留めると
「レストランだよ!」
と逆に怒られてしまった。どうやらRはなか卯もレストランだと思っているようだ。これは捨てては置けぬ。
「なか卯はレストランじゃないよ。牛丼屋だよ」
このことはしっかりと教えておかなければなるまい。子供の頃イトーヨーカドーはデパートであると信じて疑わなかった僕の、二の舞を踏まないように。
なか卯…。確かに僕達だけでいいモノを食べてしまっては嫁と息子・タク(5才)に申し訳ないし、ちょうど牛丼安売りキャンペーンやってるし、まあいいか…と入った。
「Rちゃん、券売機のボタン押したいの」
「Rちゃんもパパと同じで牛丼食べたいの」
Rはもう入ったそばからワクワクしていた。僕も小さい頃初めてファーストフード店(ドムドムバーガー)に入った時のワクワクした感じがかすかに記憶に残っている。吉野家じゃなくてなか卯、マックじゃなくてドムドム、いずれも主流から微妙に外れた感が似ているような。
「パパの券にはなんて書いてあるの?」
「おおもり、だよ」
「じゃあRちゃんのは?」
「ミニ盛り、だね」
ミニモリというと、どうしても「ミニモミFUCKだぴょん」というAVタイトルを思い出してしまうが決して口に出してはならぬことであった。
Rはそのミニ盛りをモリモリとほとんど全部食べてしまった。ミニとはいえ結構ボリュームがあるはずなので僕は目を丸くした。学年一ちっちゃいとはいえ、食べる量は増えてきているようだ。
僕らの後からガテン系の男達がどやどや入って来、うらぶれた牛丼屋に貧相な客達が群がる、この場末の風景。僕達も違和感なくどの一部として溶け込んでいたことだろう。
Rよ、もう少し君が大きくなって、自分で本当の「レストラン」を選べるようになったらそこにパパと行こう。
その頃になったらヤダとか言われそうだけど。
応援クリックよろしくです。
←これだけでもいいので押してね。
←こちらもできれば。
はてなアンテナに追加
05月25日(水)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る