ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■娘とオヤツと財布の紐。
あれは子供達のスイミングスクールの時のことじゃった。

娘・R(7才)のクラスの時間、僕は息子・タク(5才)と待っていたのだが、既に授業を終えていたタクは小腹が空いていた。そしてオヤツを持ってくるのを忘れていたため

「パパー。オヤツ買ってよー」

自分で忘れたことを棚に上げ、僕におねだりしていた。ふざけんな、と言いたいところであるが僕もチロルチョコ食いたいと思っていたので

「じゃあいいよ。帰り買って行こう」

と承諾すると

「じゃあサミットでね!」

買うスーパーまで指定された。うちの近所は駄菓子屋がない。駄菓子屋の思い出を作れないこの子達は可哀想だな…とか思ったり。

Rの授業が終わって戻って来たので

「帰りにお菓子買って行くぞ」

とRに言ったら

「ママがね、今日はパパにオヤツ買ってもらっちゃダメって言ってたよ。パパのお金がなくなっちゃうからダメーって」

なんとRはそんなことを嫁から言い含められていたという。何かと財布の紐が緩くなってしまう僕への警告なのだろうか。しかし先にタクに「買ってやる」と言ってしまったので前言撤回は出来ない。Rのこの言葉を聞いてタクは既に半ベソになって僕に救いを求める視線を送っている。

「いや、いいよ。タクには約束しちゃったから買っていこう」

そう子供達に宣言すると

「じゃあパパがいいよって言ったから買ったんだよ、ってママに言ってね」

Rは不安そうな顔で嫁に証明するよう求めた。きっと僕なんかの1000倍ぐらい嫁が怖いんだろうなあ。

そんなわけでスーパーでオヤツを買って、家に帰って来ると嫁は

「え、そんなことひとことも言ってないよ」

「えー!」

僕、びっくり。「パパのお金がなくなっちゃうから…」なんていかにもなことを言っていたのですっかり信じてしまっていた。

「R、いつ聞いたの?ママは言ってないってさ」

Rに詰め寄ってみたら

「えー?そうだっけー」

出た、不思議ちゃん。Rワールドの中でそういう妄想ストーリーが展開されていたのかもしれない。「パパにおやつ買ってもらってね」という悪意のウソを付くよりはいいのかもしれんが…。もうこれからオヤツを買ってやることに躊躇してしまいそうである。

オヤツはなくても子は育つ。なんちて。

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05月23日(月)
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