ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■飯は食え食え食うならば。
土曜日。
嫁はパートの仕事で朝早く出掛けて行ってしまった。
僕も仕事に出なければならないので、嫁が作ってくれていた朝ご飯を娘・R(7才)と息子・タク(5才)に出したり僕自身の支度をしていたら、嫁母が来てくれた。子供達の世話を嫁が頼んでいたのである。
「おばあちゃーん!」
ご飯を食べながらはしゃぐRとタク。
「すいません今日はお願いします」
「はいはーい」
嫁母は保育士なので子供の世話のプロと言ってよかろう。Rとタクはいつもご飯をモッサリモッサリ食べている。
「早く食べろ!」とケツを引っぱたいてもあまり効果がなく、「食欲ないのか」と聞いても「いや、食べる」と言う。お前らローマ帝国の貴族か、ってぐらいにものっすごい時間をかけて食べるんである。
特に晩ご飯になると眠気も加わってきて頭がトリップしながら、ボーッとしている合間合間に思い出したように食べるものだから、もうこっちが食べ物全てを口の中に放り込んでやりたい気持ちになる。
大家族のドキュメンタリーなどでは大勢の兄弟が先を争って食っているが、ああいう中に放り込まれたらふたりとも一口も食べられないであろう。
今は朝だから夜ほどのモッサリではないが、嫁母を苛立たせるには充分であった。
「ホントにこの子達は食べるの遅いね〜。私だったら30分でとっとと片付けちゃうわ」
子供の世話のプロなだけに子供を見る目はわりとドライなところがあり、苦笑いしていた。僕はもう仕事に行かなければならなかったので、嫁母にお願いしますと言って家を出たが、
「食べるのが遅い。イライラする、って言われちゃってさー」
夜、帰ってから嫁に伝えたら
「私も帰ったら一番先にそれ言われた」
と苦笑いしていた。「早飯早グソ芸の内」という言葉もある通り、やはりあのダラダラ飯は直さないといかんのかなあ…と思った。
「うちのお母さんせっかちだからね」
節電のため暗い台所で水仕事をする嫁の横顔はなんとなく美しいような気がしないでもなかった。
しかしこれは「遠目夜目笠の内」であろう。
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05月15日(日)
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