ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■卒塔婆小町。
僕と子供達、そして僕の母と昼飯を食べようとファミレスに入った時のこと。
「おばあちゃ〜ん」
と甘える娘・R(7才)と息子・タク(5才)。そんな仲睦まじい孫と婆の姿をデジカメで撮ってやったら
「見せて!みーせーて!」
もの凄い勢いでデジカメのモニタを覗きたがる子供達。
「あらあらどうしたの?」
母も驚きの顔で孫達を見詰めるので
「この子達さ、自分の写真とか動画が大好きなんだよね。ホント自分大好きで」
と説明すると
「そういうことを表わす横文字あったよね。何だっけ。あ、そうそう。オナニスト!!」
「違う!!ナルシスト!!」
どんだけ横文字に弱いんだウチの母は。真っ昼間のファミレスでオナニストとか、言葉のテロリストだろう…。写真とか動画が大好きなのは変わりないが…。主にわいせつ系だけど…。
昼ゴハンを食べ終わった後、父の墓参りに行く。
「はーい、かじりん家のお墓はこっちでーす」
Rがひしゃくを鼓笛隊の指揮棒みたいにツッタカターツッタカターと振り回しながら歩いて行くので、これって注意した方がいいよね…と思ったが、
「はーい」
バスガイドに付いて行く農協ツアーのおっさんのようにノコノコとRの後ろを素直に歩いてしまった。可愛くて叱るより先につい顔がニヤけてしまったのだ。
Rの先導により父の墓前に到着。手を合わせている間、タクが卒塔婆を指差して
「これってなんて書いてあるの?天国の言葉?」
と聞いてくるのでまた顔がほころんでしまった。天国の言葉、というのが5才児っぽいフレーズでよい。
「これはね、梵字といって、元は昔のインドの言葉なんだよ」
と説明すると
「ふーん」
ひとつ賢くなったような顔で頷くタクの横から
「ええっ?」
母が奇妙な声を上げた。そして
「なんでインド?」
と僕に聞いてくる。
「え、仏教ってインドで生まれたし」
言わずもがなのことを敢えて言ってやったら
「中国かと思ってた!」
「ええっ?」
今度は僕がビックリである。
「僕が中高生ぐらいの頃、あなた毎日般若心経読んでたでしょうが」
「だって鑑真が命がけで中国から日本に海を渡って…とか習ったでしょ…」
「鑑真の前に仏教の創業者がいるでしょ…」
「お釈迦様も中国人かと思ってた!」
インド人もびっくりとは、まさにこのこと。
僕もこの人の血を引いてるだけあって母だけを責めるのは卑怯であるが、ここまでヤバげな知識のズレがあるとは思わなかった。ただそんな隅オブ重箱的な間違いは日記のネタ程度にすることにし、些細なことにはびくともしない肝っ玉で僕を育ててくれたその生き様を尊敬していることには変わりはない。
般若心経だけに、女は読経。なんちて。
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05月02日(月)
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