ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■留守番嫁。
嫁を置いて栃木の実家に帰郷する。

「じゃあすまんが頑張ってくれ」

娘・R(7才)と息子・タク(5才)の手を引いて家を出る僕達に

「うう…行っておいで」

GWも仕事になってしまった嫁は悲しそうに見送る。まさに断腸の思いであろう。子供達も寂しいだろうか…特にママベッタリのタクは甘えん坊なので大丈夫かな…と思ったが道を歩きながら

「きゃー、カワイイー」

近所の大学に通学する女子大生に、すれ違いざま黄色い声を掛けられてデレデレしていた。たらちねの母よりピチピチの女子大生。大丈夫だ。僕の子だ。

「ラーメン屋さんに行きたいの」

栃木に着くなり昼飯はラーメンを食べたいと注文をつけたのはRだった。実家近くにおいしい佐野ラーメンの店があり、帰省した時は必ずと言っていい程寄る。子供達も大好きで、嫁も

「久しぶりにあのラーメンを食べたかったのに」

とわざわざ言うほど好きなのだ。なのでちょっと意地悪をしてやろうと思い、早速ラーメン屋に行き、

「うめえ!」

ものすごい勢いでズルズルすすっているタクの写真を送ったら

「くいてえ」

とメールが帰って来た。食欲だけでなく性欲にもこれぐらいハングリーになって欲しい。ちんこ画像も送ったろかと思ったがやめた。

子供達は特に嫁がいなくてもわりと普段どおりに飯を食って遊んでいたが、夜、風呂に入ってさあ寝るか、という時に

「ママ、なにしてるかな…」

タクがポツリと呟いたので電話をしてみた。嫁も同じ思いじゃないかな…と

「もちもち〜」

タクの声色を真似て喋ってみたら

「私のカワイイ子ども達に代わって!」

僕はお呼びじゃないようであった。嫁は子供達と喋った後、母に代われということで母とも話す。

「あなたがいないからつまわないわ〜」

と母の調子よさげな言葉がポンポンと飛び、うちの嫁姑は少なくとも見た目は仲が良いようだ。しかし僕には

「じゃよろしく」

みたいな社交辞令のみで、なんだ、嫁がいなくて一番寂しがってるのは僕じゃないかあああああ…。嫁、さびしいよう〜。子供達が寝た後でひとりぽつんと取り残された僕の慟哭が、栃木の暗い夜に染み込んでゆくのであった。

妻がいなくて断末魔。なんちて。

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04月30日(土)
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