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エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■地震@世田谷区→練馬区
地震が起きた時は仕事中。僕の職場は世田谷区。

ビル内なので普段から自身が起こると多少大げさに揺れるものだったが、今回は経験したことのないぐわんぐわんとした揺れ。恐怖を感じみんな机の中に潜った。しかも体感的にかなり長い時間揺れていて、船酔いに近い気持ち悪さも出て来てしまった。

ようやく揺れが落ち着いて、幸い被害もなし。電話は通じないだろうから、と、嫁と栃木の母にメールをした。この時15:00前後。15:30ごろに

「大丈夫」

という嫁からのメールに安心し、続けて来た

「大丈夫だけど家の植木鉢が落ちて部屋泥だらけ」

という母からの返事には多少冷や汗が。あ、あぶねえなあ…。体に当たらなくて良かった…。僕の携帯はDOCOMOなのだが、これ以降「圏外」となり、21:00まで全然繋がらなくなった。21時ジャストに復旧した。それまで規制していたのだろうか?

16:30ごろに会社の電話から家と母に電話してみたら繋がり、無事な声を聞いて安心した。

18:00ごろに「帰れる者は帰れ」とお達しが出たので、都内の電車は全て止まっていたが歩いて帰ることにする。ウチは練馬区なので、東京23区をほぼ南から北へ縦断することになる。おそらく4時間ぐらいかかるだろう。

しかしこれだけ大きな地震だから復旧するのに相当な時間がかかるだろう。道路も混み、タクシーやバスも掴まえにくいだろう。どんどん寒くなる前にとっとと帰ろうと決めた。

僕は環七をひたすら北に歩いて行ったのだが、やはり僕のように歩いて家を目指す人がかなりいた。井の頭通りや甲州街道、青梅街道といった大きな通りとぶつかる交差点では人人人でごった返していた。みんなわりと「しゃーねーなー」って感じで元気にキビキビと歩いている。

3時間ぐらい歩いて、野方の手前ぐらいに来た頃、運良くバスが止まっていたので乗ることが出来た。しかしギュウギュウで、次のバス停で待っていた人は乗れなかった。これに乗れなかったら更に1時間帰りが遅かっただろう。

こうして歩き+バスでようやく家に着いた。家の中はどんな雪崩状態だろうかと思ったら、

「意外と倒れなくてね…」

と、嫁の顔を見れてホッとした。あといつも通りの娘・R(7才)と息子・タク(5才)の寝顔も…。一番ヤバげだと思っていた背が高い本棚などは無事で、他も殆ど崩れ落ちたなく、座りの悪いところにあったオーブントースターがぶち落ちて壊れてしまったのが唯一の被害であった。

嫁はRと一緒にタクを幼稚園に迎えに行き、園の門の前で待っていた時に地震に遭った。Rは恐怖のあまりわんわん泣き出したという。すぐそばのスーパーでは一斉に客が外に避難して来、

「店閉めろぉー!もうダメだ!崩れちゃって…電気消せ!」

店員のテンパッた声がしてあっという間に閉店になってしまったそうだ。


一方タクは、先生の誘導により防災頭巾を被り、みんなと一緒に園庭にワラワラと避難してきた。嫁達も園庭に入ってきた時は

「あれ、ママ」

ちゃっかり先生の膝の上というベストポジションをキープして澄ました顔をしていたという。

「まったく幼稚園児でさえ泣いてないっていうのにRは小心者なんだから」

と嫁は苦笑いしたが僕は違うと思った。

「Rは地震から起こる災害の恐ろしさを理解してるんじゃないか?ニュージーランドのニュースも見てるし…タクだと『わーゆれてるー』ぐらいしか感じてないかも」

嫁とそんなことを話していると、外から町内(区内?)放送が聞こえてきた。

「こちらは…」

窓を開けないとよく聞こえないが、こんな夜中に放送なんて初めてである。ロボみたいな抑揚のない機械的な女性の声が余計不気味さを増す。

「電力が不足してます…」

とだけ聞こえた。地震で電力の供給が止まるかもしれないから余計な電気は使わないでおこう…と僕はパソコンを慌てて消した。

そしてトイレの扉をがばっと開けると

「うわああああっ」

暗闇の中で嫁がうんこしていた。

「そ、そこは電気つけてもいいんじゃないか?ていうかつけろよ!」


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03月12日(土)
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