ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■人を犯せば穴ふたつ。
のっけから汚い話で申し訳ない。

健康診断にて

「あんた、うんこに血がついてるぜ」

という結果が出たため、大腸カメラ検査をすることになった。アイドルはいいなあ。アイドルはうんこしないからうんこに血がつくことは有り得ないもの。

うんこに血がついているということは痔であることが多いが、大腸がんの可能性もあるということ。僕って必ず貧乏クジを引くから大腸がんに違いない!痔の自覚症状なんてないし。この年でガンだと進行が早いからもう1年持たないだろうなあ。死ぬ前にエロDVDの処分をしなくては…と考えてるくらい不安である。

子供達の成長を見ていたかった、と、娘・R(7才)と息子・タク(5才)の寝顔を眺めながらもんもんと悩む夜。来年には僕はこの世にいなくて、子供達は僕の死を理解できるだろうか。今までいっぱい一緒に遊んで来たつもりだが、大きくなったら

「父は幼い頃に死んだので、一緒に暮らした記憶があまりありません」

とか言われちゃうんだろうなあ。検査はちょうどお彼岸にかぶる。来年は僕も向こう岸の人だ…とかますますダークになりつつ、おおそうじゃ、検査なのでお墓参りに実家に帰れないことを栃木の母に知らせなければ…とメールした。

するとすぐさま

「だいじけ?」(栃木弁で『大丈夫?』の意)

と電話がかかって来た。

「だいじかろうか分からないから検査するんだよ」

などと話して切った。しかしそれからも

「おなか張ったりしてない?」

とか

「疲れてないかい?」

とか1時間おきぐらいにに電話が来る来る。更にちょうどこの日、母が買ってくれたRとタクの洋服が届いたので、その服を着せて写真を撮ってメールで送ったらまた電話がかかってきて

「…お前そっくりだね…」

としみじみ話す。なんかもう母の頭の中では僕はもう死んでいて、孫の表情から僕の思い出を探っているような感じでありもうイヤン。

うっかりしていた。僕のネガティブ思考は母譲りであったのに。

「だから検査だなんて言わないで『忙しいから帰れない』って理由にしとけばよかったのに」

嫁がそれ見たことかと苦笑いする。僕の母がネガティブ一筋六十余年なのに対し、

「私のお母さんだったら、絶対『あーそういうのは早めにちゃっちゃと診てもらう方がいいのよ』って言って終わりだわ」

嫁の母はあっけらかんとした性格である。更に嫁も

「私も初めてバリウム飲んだ時はどんな異常が見つかるかワクワクしてたわ」

異常が見つかったらどうしようとビクビクする僕とまるっきり正反対の性格である。なんでツガイになったんだろ。

「しかしアレだよね。お尻の穴にモノを入れられるって、なんか残酷でやだよね〜」

ドラキュラのモデルになったという「串刺し公」ことヴラド公を思い出し、鳥肌が立ったら

「あなただって私にやってるでしょ!思い知れ!」

嫁はぷんすかと捨て台詞を吐いてぷいと横を向いてしまった。ああ、嫁のお尻の穴をおちょめちょめしていたことがまさかこんな形でブーメランとなって返って来るなんて。

尻穴を掘っていたら墓穴も掘ってしまった、というお話でしたとさ。

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03月11日(金)
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