ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■抱き締めてトゥナイト
娘・R(7才)の宿題を見てやっている時、文房具の中に子供用の手帳があることに気が付いた。
その手帳はいっちょ前に持ち主のプロフィールを書き込む欄があり、住所氏名年齢…などの他に好きな食べ物は、好きな芸能人は、など前略プロフィールみたいな内容になっていた。
Rはめんどくさがりのようで半分以上が馬手いなかったが、「うまれかわったら何になりたい?」という質問にはしっかり答えていた。Rはどんな答えを書いたのか、と興味を持って見てみたら、
「赤ちゃん」
だそうで…。えええええー。まだ7才なのにもう人生やり直したいのかよ。もしかしてもっとグレードの高い親に産まれたかった、とか悟っちゃった?自分の人生、こんなボンクラ親の家庭からのスタートじゃ、たけしの挑戦状なみの難易度だよ、とか気付いちゃった?
「Rちゃん…どうして赤ちゃんなんだい?これからどんどん大きくなって素敵になっていくっていうのに」
少なくとも老いて臭くなっていくばかりの僕とは違い、上向きなはずだ!とRに聞いてみると
「だって〜赤ちゃんの方がかわいいんだもん」
ズコー!思わず吹き出してしまいそうになったがRにしてみれば真剣な問題なのだろう。どんな思いであれ、Rのリセット願望を取り除かなければこの先ずっと後ろ向き人生になってしまう。
「今だってかわいいよ!むしろ大きくなるにつれてますますかわいく思えるよ!」
それが親なのだ、と僕は必死に力説すると、Rは悲しそうな目で僕をじっと見詰め
「赤ちゃんだったらパパにいっぱいだっこしてもらえるもん…」
はうう。これは効いた。心臓を鷲掴みにされた思いだ。胸がキュンキュンし過ぎて萌え死にしそう。
「でも、パパ、だっこしてやってるじゃん」
「してくれない時もあるじゃん!」
そりゃ無理な時もあるけど。子が親のぬくもりを求めるのは当然である。愛を捨てたと言い張る聖帝サウザーでさえ、死の直前に敬愛する「お師さん」のぬくもりを求めた。ただ娘が父のぬくもりを求めてくるなんて今のうちであり、期間限定特典みたいなものだから、僕はもっとRをだっこしてやろうと思った。
で、その夜、ゴハンを食べ終わり、歯磨きやトイレなどの寝る支度をしている時、Rもタクもガンガン眠くなってきてもう自分で動かなくなってきてしまった。ダラダラといつまでも寝る支度が出来ないとイライラするものである。
「さっさとトイレ行け!」
と急かすと
「だっこして連れてって〜」
すさかずRがしたり顔でだっこしろと言う。昼間のアレはこの時の伏線だったのか。
「しょうがないなあ」
結局お姫様だっこをしてしまうのであった。
「たっくんも!」
それを見て羨ましがる息子・タク(5才)にも当然同じ待遇をしなければならない。子供達よ、父のぬくもりを忘れないで欲しい。日に日に重くなる君達を抱くと、時々腰がやばげな悲鳴を上げる君達の父は、君達が思うほど頑丈ではない。
だっこより脱肛が気になるお年頃なんである。
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03月07日(月)
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