ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■幼児だらけの水泳大会。ゾロリもあるよ。
嫁は娘・R(7才)を連れて歯医者に、僕は息子・タク(5才)を連れて水泳教室に、という桃太郎の爺さん婆さんばりの別行動でこの日は始まった。
嫁達は既に家を出、僕はタクを着替えさせたりしていた。ところがタクは児童文学「かいけつゾロリ」を読んでいてちっとも準備をしようとしない。一説によると子供の頃からリアルタイムで「かいけつゾロリ」を知っているのは若者で、知らないのは年寄りなんだそうだ。
すなわち若者とそうでない者を区分けするボーダーラインのひとつ。僕の世代は「ズッコケ三人組」だしなあ…。「かいけつゾロリ」に夢中のウチの若者…というよりお子様はなかなか腰を上げようとしない。
「ほら!とっとと準備しろ!遅刻するぞ!」
とケツを引っぱたくのだが
「あと何分後におうち出ればいいの?」
とかナメた言い草で余裕ぶっこいてるので
「ふざけんな!もうセロ分だよ!もう出なきゃいけない時間過ぎてんだよ!今日練習できないな!」
「やだー!」
脅しまくってようやく慌てて準備するタクであった。それでも多少サバを読んでいたので開始10分ぐらい前にスポーツジムに到着。ところが中に入るとどんどん半ベソの顔になるタク。
「どうしたんだ?」
一体何が悲しいんだ、と聞いてみたら
「…おくれちゃったから練習できないー!」
とワンワン泣くではないか。ちょっと脅しが過ぎてしまっただろうか。
「あー。ギリギリ間に合ったから大丈夫だよ。ほら、早くロッカー室行こう」
ここでぐずぐずしていると本当に間に合わない。しかしタクはプールの中が見える大きな窓を指し、
「もう始まってるー!」
と更に泣く。
「あれは前のクラスだ!」
いつも前のクラスのレッスンを見ながら準備するのに、今日はパニくっているらしい。
「ほら、早くロッカー室で服脱いで行って来い!」
「ひとりじゃ着替えられないー!」
二度泣く息子は三度泣く。なんかもう全てがめんどくなり、とっとと帰ろうかとすら思ったが、そこは親としてぐっと我慢。ロッカー室で服を脱がせキャップとゴーグルを被せ、水着は家で着ているのでオッケー。そしてタオルを持たせ、ようやく
「そんじゃ頑張って来い」
ロッカー室からプールに出る通路でタクを見送る。なんとか間に合った…とホッと一息付こうとしたら
「待ってええええ」
三度どころか四度泣く。なんだ。忘れ物でもしたか…と思ったら
「あくしゅーでばいばいばい、してー!」
握手でバイバイバイ、とは、いつも僕が朝仕事に行く時やっている挨拶というかお別れの儀式というか。握手しながら「あーくーしゅーで、ばいばいばい」とリズムを付けて合唱するんである。
それを済ませるとタクはようやくプールに向かって行った。プールに送り出すだけなのに、何回泣けば気が済むんだ…。多分眠いとか腹減ったとか、テンションが低いタイミングだったのかもしれない。
案の定、レッスンが終わり戻って来た時はケロッとしており、
「水着脱げ」
と言った時も
「お尻が半分出てます!」
本来の野原しんのすけに近いふざけたテンションに戻っていた。
かいけつゾロリが半ケツポロリってか。
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03月06日(日)
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