ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■メメント・ヌクモリ
朝、何かが覆い被さって来て目が覚めた。

隣に寝ていた娘・R(7才)が寝惚けたままぎゅーっと抱き付いてきたのだった。

「おお、カワイイ娘よ。くっついて寝よう」

冬の朝、ぬくぬくと布団の中でモフモフするのは最高である。ましてや愛娘と一緒だとこの上ない幸福感。湯たんぽより暖かい。

再び眠りについたRは。すーすーと規則正しい寝息の音を立てる。密着しているので音がでかい。実はその音に掻き消されそうな小ささで、しかし確かに聞こえてくる別の音があった。

「しくしくしく…」

誰かがさめざめと泣く声が聞こえる…と思ったら息子・タク(5才)であった。タクは僕の隣の隣に寝ていた。すなわち僕・R・タクの順。ちょっとびっくりして

「タク、どうしたの?」

おねしょでもしたのかと思って声をかけた。声をかけてから、それぐらいで泣くタマじゃないな、と思い直した。実際おねしょした時は

「ちょっとおひっこもれちゃった〜」

わりとあっけらかんとしてパンツを放り投げて着替えていたものである。では一体何故…と不思議がっていたら

「Rちゃんとくっついて寝てたのに…そっちいっちゃった…さびしい…シクシクシク…」

なんという寂しん坊。お前もぬくもりが恋しいのだな…。聖帝サウザーですら欲するぬくもり。まだ5才のタクなら尚更である。

「よしよし。みんなくっついて一緒に寝よ」

R越しに腕を伸ばしてタクの頭を撫でてやると、タクはその手にふんふんと鼻を鳴らせて絡み付いて来た。その動きが子犬みたいでカワイイ。

そんなわけで3人でもふもふとやっていたわけだが、嫁はその時どうしてたかというと…既に台所に立ち子供達の朝食と僕の弁当を作っていたのである。嫁はいつも誰よりも早起きだ。エライ!頭が下がります。

そんな感謝の気持ちを込めて、昼に弁当箱を開けたら…

「ひいいいいい!」

確か先週ぐらいに日記に書いた記憶があるが、あれほど「やめてくれ」と言っていたブロッコリーがまた入ってるー!どどど、毒々しい、みみみ、緑のブツブツがこっち見てる…怖い!ギャアアア!カビのコロニーみたいでイヤアアア!本気で鳥肌と脂汗と吐き気が…。

朝のぬくもりが吹っ飛ぶブロッコリーの特盛りであった。

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03月03日(木)
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