ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■ゲゲゲの旦那の女房
いつも変な広告を打つことで有名な、練馬区が誇る遊園地「としまえん」に遊びに行く。

近場なので年間パスを持っており、ちょくちょく行くのだ。この日、園内はコスプレした人達で溢れまくっていた。ここは月イチぐらいの頻度でコスプレイヤー達のために園内を開放しているのである。彼等は園内で気に入った風景をバックに思い思いのポーズを決めて撮影しまくっている。

僕らも初めて遭遇した頃は、フリーザの最終形態がうろついていたりしているのを見て

「やべー地球ごと消される」

とびびったものだが、今ではすっかり慣れてしまい

「きょうはコスプレの日だね」

娘・R(7才)と息子・タク(5才)も季節の風物詩を見るような感じである。最近は元ネタが何か分からないコスプレさんが殆どだったが、

「あっ翔太郎とフィリップだ!」

毎週見ていた仮面ライダーWの主人公のコスプレをしている人達を見つけて、タクが叫んだ。

「あ、ホントだ。服とかよく似せて作ってるなー」

「でも顔はあんまり似てないよ!太ってるよ」

「大きな声で言うんじゃありません!」

慌てて逃げた。

で、まずはスケートをやる。回数を重ねる毎に子供達は着々と上手くなっており、もうRもタクもヨロヨロではあるが自力で滑っている。そして子供達とほぼ同レベルであった嫁もそれなりに上達しているが

「明らかに上手くなってるのに、全然楽しくないのはなんでだろう。スキーの方が好きだわ」

やらされ感たっぷりでボヤキが入っていた。

「けけけ、僕は楽しいよーん」

僕は華麗な滑りを嫁に見せ付けていたが、これは後で泣きを見る羽目になる。2時間も滑ると全員疲れてしまって

「じゃあやめんべ」

ということで乗り物に乗ることにする。としまえんのアトラクションは、110センチ以上ないと乗れないものが多く、そのせいでRとタクが未体験のものがたくさんあったが、最近110センチ以上になったことが判明したので3つほど初チャレンジしてみた。

ひとつめはローラーコースター。これはタクが怖がってしまい

「ははは、まだおこちゃまだな」

とからかってしまったのだが、これは後で痛い目を見ることになった。次に乗った横回転ぐわんぐわん系のアトラクションが僕にとっては鬼門となった。気持ち悪くって気持ち悪くって。そういえば僕、ティーカップとか横回転系のものってダメなのであった。

何故か壁に描かれていた、ティナ・ターナーと思われる元祖ヤマンバみたいなリアルな似顔絵も気持ち悪くて吐き気を加速させる。冗談ではなくマジでゲロ吐く5秒前。本当にあと5秒長かったら吐いていただろう。

僕は必死で耐えた。アトラクション回転中にゲロを吐くと螺旋状になるのだろうか。いっそのこと吐いてしまった方がどんなに楽か。しかしゲロがどこに飛んで行くか分からない状態。乗っている他の客に迷惑がかかるかもしれない。

更には子供達にそんな姿を見せるわけにはいかん。遊園地で父親がマーライオンになった姿を見た上にゲロまでかぶってしまったら僕だったら絶対グレる。

そんなわけで辛うじて耐えて降りてベンチに座った。脂汗が出て手の先が痺れている。貧血みたいな症状だYO。

「もっかいのりたい!」

Rとタクは元気であったが

「ごめん…。君達だけで乗ってきて…」

僕はしばらく動けなかった。嫁は

「うわ。すっごい顔色悪。プ」

思いっきり笑っていた。おのれ、なんという屈辱。今度思いっきり恥ずかしい体位で犯してやる。覚えてろよ。

僕にはゲロ袋と堪忍袋が必要なようだ。

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02月20日(日)
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