ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■ネバースリーピングストーリー
夜、帰って来ると子供達は起きていた。
「あのねー。Rちゃんはゴハン食べ終わったんだけどたっくんはまだなんだよー」
娘・R(7才)が弟・タク(5才)より早くゴハンを食べ終えたことを誇らしげに言う。
「だって、もうねむいんだもん」
基本20時を過ぎると眠すぎてゲームオーバーになるタクは、もう食べる気力もなくただひたすら眠いようでグダグダ。
「はいはいはい、じゃあもうゴチソウサマして寝る準備しなさい」
そこへラブイズオーバーな嫁がツカツカとやって来て、遅いんだからとっとと寝ろ、と急かす。
歯を磨いてトイレに行って、
「お話はどうするの?」
いつも寝る前に昔話の本を読み聞かせているので、嫁が今日はどうすのか、と聞くと
「パパのお話がいい〜」
ふたりとも僕に読んで欲しいとのリクエストだった。ふふ。そんな僕のボイスに酔いしれたいのかい?気分的にナレーション:江守徹、って感じである。
僕はいつも本ではなく昔話のデータベースサイトを携帯からアクセスして、それを見ながら話すのであるが、どの話にするのがわりと大変である。昔話タイトルのリストを見ながら
「これやだ」
「これ怖そう」
「これ絵がやだ」
「Rちゃんが選びたい」
「やだ、たっくんが選びたい」
最後にはケンカになってしまい埒があかぬ。もう寝なければいけない時間はとっくに過ぎている。
「もうパパが選びますっ。文句を言うならお話はなしっ!」
僕が怒らなくても嫁がその数倍の怒りをぶちまけるだろう。最悪な結末を回避すべく、有無を言わせぬ勢いでとっととよさげな話を読み聞かせた。
「おばあさんが言いました『まんず、よかんべ』」
方言丸出しなので江守徹どころかU字工事である。そんな感じで読み終えて
「さ、寝んべ」
とふたりの頭をポンポン撫でたところ、タクはすぐさま寝息に変わっていったが、Rはじわじわと瞳に涙を浮かべているではないか。
「どうしたんだ?なんで泣いてるの?」
「Rちゃんがお話選びたかった…」
まだそんなこと言って…。寝る直前のRはわりとワガママである。
「あのね。もう遅い時間だから。Rが選ぶって言ったらタクだって選びたいっていうだろうし、どっちが選ぶかで揉めるし、どっちにするか決まったら決まったで次はどのお話にするか揉めるし、遅い時間がどんどん遅くなるでしょ!」
こんこんと説き伏せるとRはぷうっとふくれたまま布団の中に潜って行ってしまった。拗ね方がカワイイ…じゃなくって、これ以上グダグダ起きてると、すぐそこにいる嫁が爆発し、Rはとっとと寝なさい、と、怒られるだろうし、僕は
「アナタがいるから子供がはしゃいじゃって寝ないからゲッタウェイ!」
とこれまた怒られるだろうし。
Rよ、早く寝ないと、さっき
「これ怖そう」
と避けた「鬼婆」のお話をリアル体験しちゃうぞー。
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02月04日(金)
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