ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■アイ・ワサビー・ユア・ドッグ
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宴会で使う飲み屋を探すため渋谷の街をうろついていた。
渋谷…若き頃はCISCOテクノ、CISCOハウス、渋谷WAVE、クアトロWAVE、DMR、TECHNIQUE、HMV等等のレコード屋を巡って、常に新しいテクノな音楽を求めまくったり、ゲーセンをハシゴしてBEATMANIAをやりまくったり、しょっちゅう徘徊していたものだけれども、すっかりそんなヒマも情熱もなくなってしまった。まともにうろついたのは何年ぶりだろうか。
街の新陳代謝が凄いので、頻繁に来ていた頃とのギャップが激しい。HMV渋谷が閉店したのはニュースにもなったが、ゲーセンも知ってる内の半分がなくなっていた。そして歩くたびに「うお、こんな店が」という感じで浦島太郎状態。都内に住んでいてもほとんど練馬区から出ないからおのぼりさんとほとんど変わらん。
ふらふらしているうちに、なんとなくインベーダーの看板に誘われてゲーセンに入った。ゲーセンに入るのも久しぶりで懐かしい。そしてゲーセンの中も街の変遷と同様、流行り廃りがある。僕が通っていた頃は、はまっていた音楽ゲームが目立つ存在であったけれども、これらは端っこに寄せられて、今は通信対戦できるクイズゲームや麻雀が増え、それらの筐体がずらりと並んで幅をきかせている。
ボタンの叩き過ぎで指の腹から血が出てもやりまくってたあの頃。なんであんなに没頭していたのか…。そんなことを考えながらしばしぼーっと眺めていたら、かわいい女の子店員がさっそーと通り過ぎて行った。
ああそうだ。あの子がいたんだった。近所のゲーセンで働いていた美少女Rちゃん。あまりにも可愛い子だったので娘の名前にしてしまった。彼女やゲーセン仲間と毎晩のようにつるんで遊ぶのが楽しかったんだよなあ。すっかりノスタルジイに浸ってしまっていたところで、

こんなクレーンゲームに

キットカットわさび味なるものが山積みになっていた。どんな味か想像できない…と、つい惹かれてしまい300円ほど投入。うまく山が崩れてドサドサドサっと大量に落ちてきた。しかしあまりにもたくさん落ちてきたので取り出し口が開けない。
すると先程の可愛い店員がさっそーとやって来て
「ハイおめでとうございまーす。袋入れましょーかぁ」
まいんちゃんみたいな鼻にかかったアニメ声で取り出してくれて、袋に入れて僕に手渡した。面と向かうともっと可愛い。ていうか何となくRちゃんに似ている。Rちゃんに出会った頃を思い出すなあ…。
Rちゃんに会うたびになんというか、甘酸っぱいというか、これって恋なのかしらみたいな乙女ちっくな趣になっていたものだが、久しぶりにそのドキドキが復活してしまい、なんだか何もかもが懐かしく。
ゲーセンを出て電車に乗り、家に着くまですっかりノスタルジーに浸ってしまっていた。帰って来てからキットカットわさび味を取り出してみたところ
「まずそう」
うんこを見るような目で吐き捨てる嫁の顔は、ノスタルジックかつチミに胸キュン的に浮かれていた僕のテンションを叩き落とすのに充分であった。
せっかくゲットしたのにケチ付けられて悔しかったので食べてみた。うん。極々弱くではあるが、わさびの香りする。これぐらいなら甘さに加わったアクセントとしてアリである。悪くない。おいしい。
「残りは子供達にあげてよ」
ということで翌日のおやつに食べさせたところ息子・タク(5才)はおいしいおいしいとガツガツ食べたが、娘・R(7才)はダメだったらしい。タクの方は腹が減り過ぎて何でも食べる状態だったようだが、やはり子供はサビ抜きが基本なのだろう。
昔の甘酸っぱい思い出とわさびはよく似ている。
どちらも鼻にツンと来る。
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11月18日(木)
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