ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■私文上々
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娘・R(7才)と息子・タク(5才)が寝た後

「あのさ…」

嫁がヒソヒソと語りかけてきた。子供達も寝たし、獣のように犯して欲しい、とおねだりしてくるのかと思ったら違った。嫁はRが学校から持って来た連絡帳を開く。そこには担任の字でこう書いてあった。

「月曜日、算数の勉強のため居残りします。ちょっと計算に時間がかかるようです…」

5+7とか、10を越える足し算が苦手なんだという。

「居残りさせられるまでダメだったなんて…深刻だね…」

嫁が不安そうに言う。テストの結果も初めて見せられたが、70点とかあんまりよくない。確かにRと息子・タク(5才)にせがまれて算数の問題を出すことがあるが、タクの方が答えを出すのが早い。調子こいてもう掛け算の勉強をしている有様。それに比べてRはイマイチ掴んでいない。だから計算が遅いし間違える。しかし

「算数なんか出来なくったっていいんだよ!僕も0点取ったことあるし!」

僕も嫁もバリバリの私立文系。数学は最大の敵であり大学受験では数学から逃亡したクチである。高校の数学で覚えていることなんて

「代数幾何は大好きか?微分積分いい気分」

ぐらいしかないので、ノープロブレムだ、と嫁に言ったが

「でも小1の2学期からズッコケてるのよ。やばいよ」

嫁の顔は晴れない。

「確かにな〜。でもこの段階で分からない子にどう教えていいのか結構難しいよな」

まだ数字の根本的なところが分かっていないレベルなので、ゾウを一度も見たことがない子にゾウとは何ぞやと教えるぐらい難しい。

「うーん、先生の教えに任せるしかないわね」

ということで月曜の夜、どんな居残り勉強をやらされたのだろうと思い

「R、算数の勉強した?」

「うん」

「ひとりだったのか?」

「ふたり」

Rともうひとり、隣のクラスの男の子がいたのだという。その子はふざけていていつも先生に注意されているそうだ。そんな問題児とセットで学年ワーストワンツーになってしまったR。しかも

「問題児はマジメになれば勉強が出来る伸びしろがあるかもしれないが、マジメなのに出来ないRって…」

嫁とヒソヒソ話し合い、もしかしてすんごい深刻なのかもしれないと段々ダークな気分になってきた。

居残り勉強の内容は、答えが10を越える足し算問題のプリントを3枚やったのだという。あと更にプリントを与えられ

「お家で1日1枚やりなさい」

と宿題を出された。問題の数をこなして数の概念を掴むしかない…ということなのだろうか。僕と嫁、どちらも数字ダメ遺伝子しか持っていなくて申し訳ないが、Rよ…努力して欲しい。うんうん考えながら算数の問題をこなす姿を想像するだけで可哀想になってしまう。

ああ、私立文系のこの血が憎い。

今は起立陰茎である。

数学だけに、マスかいて寝るか。

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11月09日(火)
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