ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■親父のすなる日記といふものを娘もしてみんとてするなり
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娘・R(7才)がノートに何かを書いていた。

「ねーパパー。こっち来て見ててー」

宿題で日記を書かなければならないらしい。Rは息子・タク(5才)の運動会をネタにしようとしていた。書きたいことは山ほどあるけれども、変な文章にならないように見ていて欲しい、とのこと。

覗いてみると既に長い文が綴られていた。朝起きた時のこと。幼稚園に行った時のこと。運動会の開会式。体操。タクのかけっこ。タクのおゆうぎ…って

「タクが出た種目を全部書くつもりかい?」

「うん」

「それはすごいが、長過ぎやしないかい」

ダラダラ書くよりも要点をきちきちとまとめることが大切なのだ、というようなことを指導してみると

「そんなことないよ。この前ね、動物園に行った時のことをいっぱい書いたら先生がすごく褒めてくれて、Rちゃんのだけ読まれたんだよ!」

おっとり屋のRが珍しくつっかかってきた。自分の日記だけ先生に朗読されたのが余程嬉しかったらしい。

「それは長いのもあるけど、Rちゃんがとても楽しかったってことがよく書かれてたからだと思うよ。だから起きたことをダラダラ書くだけじゃなく、自分が思ったこと、感じたことも思い出して書くといい」

とか言って適当なアドバイスをして書かせ、文に詰まると助け船をだしてやったりしてようやく長編日記が完成した。その一部を抜粋してみると

おひるはおかあさんがつくってくれたおべんとうをたべました。(←起きたこと)
きゅうりがとてもおいしかったです(←感じたこと)

なるほど僕の教えを守っている。てか嫁の弁当の第1位がきゅうりて。もっと嫁が手間暇かけて作った唐揚げとかおにぎりとか全スルーしてきゅうりかよ。カッパかお前は。

「でもRがそう感じたんだもんね。これでいいよ。日記完成〜」

良く出来ました、とノートを片付けさせようとしたら嫁が

「できたー?みしてー」

とノートをぺらぺらめくるではないか。そして

「きゅうりかよ!」

「あ、やっぱりそこで引っ掛かったか」

案の定ガックリ来ていた。なんかやばいこと書いちゃったなーという顔になったRに嫁は

「で、でもいいのよ。Rちゃんが本当に感じたことを書けばいいんだからね。でもママ唐揚げとか頑張って作ったの」

フォローしてるようで抗議してるようなどっちつかずで更にRを惑わしていた。いずれ日記の書き方ステップ2、

「読む人のことを考えて書く」

ということを教えてやらねばなるまい。わりと筆まめであるらしいRにこのことをたたき込めば、10年後ぐらいには…

…僕と同じでブログで日記書いてたりして。

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