ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
[5183259hit]
■雨の慕情
←応援クリックよろしく
せっかくの土曜日なのに、朝から雨がしとしと降っていて、前の家のトタン屋根がテカテカ濡れている。
そして暴れたい年頃真っ盛りの娘・R(6才)と息子・タク(4才)は、外に出られないため体力を持て余し家でグダグダしている。
「児童館でも行くかい」
児童館は電車で4つほど先にあるので出掛けるのが多少億劫なのだが、幼児期の貴重な1日を家で腐らせたまま終わらすのは気の毒である。
「いくー!」
Rとタクは大賛成。ふたりとも児童館大好きなのだ。じゃあ行くべかと支度を始めたところ
「わ、私は行かなくていいかな…。洗濯とかアイロンがけとかボーッとしたりとか家でやりたいことたくさんあるの」
嫁がおずおずと留守番していたいことを申し出た。
「ん。別にいいよ。僕が連れて行くから」
最後にサラッとサボタージュ的なことを口走っていたがまあよい。たまには子供達の呪縛から離れたいのだろう…と思い了承したのだが
「やーだー!ママも一緒に来て!」
タクは許さなかった。
「えー。パパと遊ぼうよ。ボール遊びもするし、紙芝居も読んであげるよ」
「やーだ!ママと行きたいの!」
タクは「ママと一緒に遊びたい」「ママと一緒に絵本読みたい」「ママ大好きだから」等々猛烈に嫁ラブをアピールし、
「分かった。わーかったから」
難攻不落の嫁も遂に落ちた。僕も夜のお誘いをする時の参考にしよう…。
そんなわけで一家4人揃って電車に乗り、児童館に到着。しかし建物の入口が暗い…そこに1枚の貼り紙があり、その内容は
「電気設備点検のため休館だっつーの。ザマアww」
ぎゃああああああ。やっちまったー!まさか休みだとは思わなかったよよよよよ…。
「うわー。超無駄足…帰ろう…」
嫁はとっとと帰ろうとしたがここまでノコノコやって来てそのままトンボ返りするのも酌だったので
「あそこ行こう。ダイエーの中にある遊べるところ」
ショッピングセンター内にあるキッズアスレチックに行くことにした。児童館と違い、お金がかかってしまうが、幼児期の貴重な1日は金では替えられぬ。時は金なり。
「ぎゃはははははー!」
中に入ったRとタクは大はしゃぎ。朝からずっと家に閉じ込められていた鬱憤を一気に爆発させているようであった。ふたりで無我夢中で暴れ回っていて、嫁はその姿を眺めながらポツリと呟いた。
「…これって私いらなくね?」
「だよねー」
「帰っていいかしら」
「まあ一応聞いてみるか…タクー!ママお家帰るってさ」
あれだけママ大好きと言っていたのでちょっとは引き留めると思ったのだが
「いいよー」
「うわ。ひど」
いともあっさり。
「私は利用されるだけされて捨てられた女…何しに来たんだろう…」
嫁はそう言ってひとり家に帰っていった。売れる前のお笑い芸人とかミュージシャンに金銭も肉体も全て捧げ、売れたらあっさり捨てられる女のような哀愁が背中に漂っていた。
嫁も家でやることがいっぱいあるだろうに気の毒であった。嫁もまた時は金なり。
でも夜はおざなり。
応援の2クリックよろしくです。
←これだけでもいいので押してね。
←こちらもできれば。
はてなアンテナに追加
02月28日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る