ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■福引きより逢引きしたい
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「やべー!スタンプ押して貰うの忘れてたー!今日までじゃん!」
僕は焦っていた。近所の商店街がガラポン(福引き)をやっているのである。加盟店のうち4店でお買い物をし、応募用紙にある4つのスタンプ欄に押して貰うと1回ガラポンが出来る。
手元には3店のスタンプが押された応募用紙が2枚。スタンプが貰えるのが今日までで、ガラポンは明日まで。すなわちいずれも今日中にもう1個スタンプを押して貰わないと紙切れ同然になるのである。そしてこのことに気付いた時は既に23時。日付が変わるまであと1時間。
速攻で馴染みのゲーセンに飛び込んで
「店長うううう〜!スタンプ押してええええ!」
無理矢理スタンプを押して貰い、何とかガラポン権利ふた口を死守した。
たかがローカルな商店街のしょぼいイベントにここまで本気にならなくてもいいと思うだろうが、特賞は箱根温泉旅行なのである。しかも小田急ロマンスカーの往復キップ付き。ロマンスカーに乗りたいんである。
ゲーセン店長のおかげでロマンスカーの希望が断たれずに済んだ。あなた神様だよ。ロマンスの神様、今日もありがとう。
翌日の土曜日、娘・R(6才)と息子・タク(4才)に
「ガラポン1回ずつやらせてあげる」
と誘うと喜んで付いて来た。
「最終日だからもうハズレしかないんじゃないの〜?」
と言う嫁は全く分かっていない。ガラポンなんて大当たりの出玉操作は必ずしている。主催者側にとっては出来るだけ多くの人が見ている中で大当たりが出た方が良い。
「お、当たりが出た。自分もやればもしかしたら…」
という効果が大きいからである。平日の午前中とか、客もいないガラガラな時に大当たりが出ても意味がないんである。だから土日に集中して当たり玉を入れる。最終日ならなお良し。
会場に着くと、ガラポンをやりに並んでいるのは僕らの他は何故か全員老婆。謎である。福引きじゃなくてババ抜きだったのであろうか…。既にガラポンを終えたお婆さんが僕とすれ違いざま
「全部ハズレだったよ、あはははは」
と声をかけていった。他のお婆さんも係の人に
「もうハズレばっかりなんじゃないのー?」
さっき嫁が僕に言ったことと同じヤジを飛ばす。この押しの強さ、僕には真似できない。
「いやいや、たくさん残ってるんですよ、ほら…」
係の人は未だ山積みになった特賞1等2等などの目録を指差す。なるほどチャンスは残っているようだ。
「よーし、君達、頑張って当ててくれ!」
いよいよ僕らの番になった。Rとタクに希望を託し、それぞれ1回ずつガラポンを回させると…
ガラガラ…コロン。R、赤玉。
ガラガラ…コロン。タク、赤玉。
「はい、参加賞です」
僕のロマンスカーの夢は断たれた。何がロマンスの神様だよ。広瀬香美なんて大っ嫌いだ。スキー場に行くと必ず流れやがって。
「はい、Rもタクもお疲れ様でした。これでおしまいです」
ふたりに参加賞を渡し、とっとと家路に着いた。
「パパ、これなーにー?」
道すがらRとタクが聞いてきた。ああそうか説明しないと分からないよな、と思い
「マックのポテトが貰える券だよ」
と言うと
「えー!やったー!すごーい!おおあたりだね!」
ああ、この子達って…。僕の強欲な心が洗われる気持ちである。ロマンスカーの夢は断たれたが、せめて今夜嫁とロマンスなひとときを過ごすことを目標としよう、と思い直した。
ガラポンの代わりにちんこを入れポン。なんつって。
赤玉が出たりして…。
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12月27日(日)
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