ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■夜這い星
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真夜中のミッドナイト。

嫁を抱き締めてトゥナイトと意気込み寝床に滑り込もうとすると嫁の姿がなかった。トイレにも押し入れの中にもいなかった。一体どうしたのだというのだろう。

1.失踪(僕に愛想が尽きて)
2.サバト(奥様は魔女…しかも黒魔術系)
3.丑の刻参り(僕の髪の毛持参)

うわーん。ママー。どこ行っちゃったのーと泣きそうになったら

「ぐわらっ」

突然窓が開いたので失禁しそうになった。嫁はベランダの外にいたのであった。

「のぞきでもやってんのか、君」

「流れ星を見ているのよ」

なーにいきなり乙女チックになってんだか。そういえばニュースで双子座流星群がなんたらとかやっていたことを思い出した。

「寒いのにご苦労なことで…」

生憎僕には流星群よりおっぱい群に心をときめかす汚い心のオヤジ。星を愛でるようなロマンチックな趣味はない。いや、子供の頃はあった。むしろ天体大好き少年だった。

その名残で明るい星の名前ぐらいなら今でも言える。シリウスとかプロキオンとかカストルとかポルックスとかカペラとかアルデバランとかリゲルとかベテルギウスとか死兆星とか。

故郷の星空は流れ星どころか星座そのものがこぼれて来そうな程キラキラしていた。そして運が良ければ10分ほど眺めていれば流れ星がつーと走って行く姿が見られた。だから特段物珍しくもないのだ。

おまけに東京には空がない。前述の明るい星ぐらいしか見えないから今更流れ星など…。

「で、見えたのかね?」

「う〜ん。まだ」

夜空を眺める嫁を眺める僕。そして一句。

空眺め あのマンションがまぶしいと 愚痴をこぼして星はこぼれず

(詠み人:かじものとこきまら)

結局流れ星を見ることが出来なかったようで、ようやく諦めた嫁は窓をカロカロと力なく閉めて寝る体勢に入った。それを逃さず僕は襲う。

「まーまーまー。契りましょう」

「えー。やだ」

たわけめ。お前が求めていた流れ星はここにいるのだ。なんつっても流れ星のことを昔は「夜這い星」と呼んでいたのだから。

『星は昂星(すばる)。牽牛(ひこぼし)。明星(あかぼし)。長庚(ゆふづつ)。流星(よばひぼし)をだになからましかば、まして』

精子…じゃなかった、清少納言の枕精子、じゃなかった、枕草子にもこうある。

寒空の下で冷え切った嫁には、「求めていたものは、じつは身近なところにありましたとさ」みたいな青い鳥風の心温まるオチもよいだろう。

そうよわたしは、蠍座の男。

蠍座流精群じゃー!

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12月16日(水)
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