ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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今日は法事。父の十三回忌である。

栃木の実家に帰ると既に父の兄弟姉妹達が集結していた。基本的に父の兄弟姉妹達は顔が同じである。ウルトラ兄弟で例えるとゾフィーとウルトラマンと帰って来たウルトラマンぐらいの違いしかないので、僕は伯父さんと父を素で間違えたことがある。

「遠くからありがとうございます。ほれ、挨拶しろ」

親戚一同に娘・R(6才)と息子・タク(3才)のお披露目をすると、Rは案の定縮こまってしまった。指先を口元に当てて舐め始めたのは緊張している証拠である。

タクはというと至ってマイペースで、お寺での法事が始まる直前までペラペラとくっちゃべっており、嫁が

「法事中もうるさいことしそうだから一番後ろの席でいいわ」

として引っ込んでいたのは正解であった。僕は一番前に座っていたのだが、背後から喋る内容までは分からないもののタクの声がしょっちゅう聞こえ、後で嫁に聞いてみたら

「お坊さんのお話、長いんですけどー、とか言ってたよ」

とのことでなんという不真面目な奴。とはいえ僕も住職の

「○○さん(父)が亡くなられて13年目に当たるわけですが、今日皆さんはその間起こった出来事をお伝えしてあげてください」

とかいう話を聞いて「父さん、見てのとおりうるさいのが増えました…」と手を合わせながらしみじみと心の中で報告していたのだが、住職の読経が始まるとそのコブシの効いた声明が詩吟に聞こえてきてしまってしょうがなく、声明が途切れるたびに

「…あると思います!」

と心の中で相槌を打って自分でウケてしまい、笑いを堪えるのに必死でありタダの大馬鹿である。

法事が終わり、墓にも手を合わせた後は精進落とし。みんなで座敷でワイワイやっていると誰かから

「なんか歌ってよー」

Rとタクに何か歌を歌えとのご指名があった。

「Rちゃんは…歌わないよね」

「うん」

しかしRは絶対人前でそういうことはしない。人目に付き、目立つことを全力で避ける子である。

「じゃあタク、歌え」

「幼稚園のうた、歌います!三番まで!」

三番、と指を三本立ててその指先で脇にいた母に目潰しを食らわせた後、幼稚園園歌を歌いまくった。その後

「つぎは『とんぼのめがねでーす』三番まで!」

再び母に目潰しを食らわせてまた歌う。さらにもう一曲追加し、計3曲。白いポロシャツだったので、その手を後ろに組んで歌うさまは北朝鮮の子供合唱団みたいであった。

「あああ、恐れていたタクのお調子者ぶりが全開になってしまった…」

さぞや親戚一同も苦笑いしているだろう…と思いきや、なんと皆うっすら涙を浮かべているではないか。きっと「○○(父)に見せてやりたかった」と思っているのだろう…ってなんだかお涙ギブミーの話になってしまったではないか。

RはRでずっとお行儀よくしており、まあ、我が子にしては良く出来た子供たちなんだろう。

「君達、いい子だったね」

法要のあとに抱擁をかわしましたとさ。おしまい。


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09月20日(日)
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