ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■桃栗3年柿8年。ビワは早くて13年。鶴はせんべい噛めまへんねん。
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「パパ、これ見て〜」

娘・R(5才)が半透明のビニール袋を持って来た。中には何やら黒っぽいモノが入っているようである。検便だったらやだなあ。

「コレは何かな?」

「びわのたね!」

Rは元気よく答えた。Rの幼稚園にはビワの木がある。実が成ったので園児に振る舞われたのだそうだ。

「ははは、捨てないで取ってるんだね」

「これをね、おばあちゃんちに埋めるの」

ウチには庭がないので、僕の実家と嫁実家に埋めるんだそうだ。

「そうかそうか、芽が出て大きくなれば、いっぱいビワの実が採れるね」

「とちぎのおばあちゃんち(僕の実家)に2つ、はちおーじのおばあちゃんち(嫁実家)に2つ埋めるのよ」

「そんなに食ったのかよ!」

果たしてちゃんと芽が出るのだろうか。子種に関してならば僕はプロフェッショナルなのだが。何しろ毎日のように種を撒いているし、息子・タク(3才)の場合などは嫁に1回種を撒いただけで出来てしまった。

種を大事に持つRの姿を見ると、芽が出て大きくなることを心から願わずにはいられない。

「芽が出るといいね」

「うん、おおきくなあれーってお願いするの」

うんうん、そうだ。種に願いを込めるのだ。お願いすれば夢は叶う。すなわちドリームス・カム・トゥルーであり吉田ビワである。なんつって。

そんな僕らの会話を聞いていた嫁は、

「でも大きくなり過ぎたら困るよー。幼稚園のビワ、見たことあるでしょ?でかすぎ!」

と横槍を入れた。しかしそんなことは杞憂である。

「あんだけ大きくなる頃には、多分僕ら死んでるし」

「そういやそうね」

僕らがこの世を去った後、成長したビワの木の下でこれまた成長したRとタクと、彼らの子供達が実を摘んでいる姿がおぼろげに想像できた。そしてまたビワの種を埋めれば新しい木に育ち、Rとタクの子供達もまた子供達を…こうして万物は流転し、時は流れていくんだね…。

祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。平家物語だなあ…。

何故こんなことに思い耽るのかというと、

平家物語といえばビワ法師だからである。

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06月20日(土)
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