ID:81711
エキスパートモード
by 梶林(Kajilin)
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■鍵の行方。
夜、家に着く。ポケットから鍵を取り出す。
鍵を回して扉を開けて中に入る。
鍵を横の棚に置こうと思ったら
「おかえりい」
嫁が出迎えにきた。出来た嫁である。
しかし、鍵を置こうとした手が嫁に阻まれてしまった。
空中に鍵を持ったまま停止した手はどこに降ろせばいいのか。
じゃあ嫁の胸の谷間にでも置いてみようか。これぞ
「谷間鍵挟み」
新婚夫婦なら「裸エプロン」と同様に絶対やってるはずだ。
…嘘である。今作った。
嫁のシャツの襟首をぐいっとほどいて鍵を落とす。
すー。ちゃりん。
鍵はどこにもひっかかることなく、直行で床に落ちた。
…分かっていたことだ。
嫁の胸など谷も無ければ山も無い。
「むなしい」
僕はため息をついた。
「それはコッチのセリフよ!
いきなりやっといて何よ!
むなしいっていうか、悲しいわ!」
嫁がヨヨヨヨ…と嘆いた。
すまん。
三歳児に般若心経を無理やり写経させるぐらいの
無謀な試みであった。
でも、ちょっとはひっかかるかなって思ってたんだようようよう。
2人で泣いた夜。
09月21日(土)
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