ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■宮崎駿監督を怒らせた、糸井重里さんの『となりのトトロ』のコピー
『鈴木敏夫のジブリマジック』(梶山寿子著・日経ビジネス人文庫)より。
【『ナウシカ』公開の年、映画界は角川製作の『少年ケニヤ』や『おしん』のアニメ版(サンリオ製作)の話題でもちきりだったという。特に『おしん』はテレビでヒットしただけに、期待も高い。しかも『ナウシカ』と公開日はほぼ同じ。そんな状況で、当初『ナウシカ』を上映する劇場は60館ほどしかなかった、と当時を知るスタッフは言う。普段はピンク映画をやっているような劇場で午前中に1回だけ上映するといった、ひどいケースもあったらしい。
「『ナウシカ』は完成が遅れていて、宣伝のしようもなかったんだけど、完成したものを見せた途端、新聞記者が絶賛したんですよ。公開後は口コミでも評判が広がって、『おしん』をやっていた劇場が『ナウシカ』に切り替えたり。結局、配収7億4200万円をあげました」
この映画のコピー、「少女の愛が奇跡を呼んだ。」は徳山氏(当時「アニメに強い」といわれていた映画宣伝会社「メイジャー」のスタッフ)が考えたもの。ポスターなども東映と相談してメイジャーで決めており、鈴木(敏夫)氏が口を挟むことはなかったという。
『ナウシカ』のヒットを受け、次作『ラピュタ』(配給・東映)もメイジャーが担当するが、『トトロ』と『火垂るの墓』では配給が東宝に移ったため、宣伝は東宝に一任される。その結果かどうか、興行はいまひとつふるわなかった。映画会社が、かつての映画黄金時代のようにきちんと宣伝をしてくれないことに、ジブリ側は不満を持ったようだ。
なお、コピーライターは、このときから糸井重里氏が起用されているが、『トトロ』用のコピーとして、
「このへんないきものは、もう日本にいないのです。たぶん。」
という案を出し、宮崎監督に怒られたというのは有名な話だ。最終的に、
「このへんないきものは、まだ日本にいるのです。たぶん。」
という印象的なコピーが生まれたが、このコピーにしても、雨のなかでトトロがたたずむポスターにしても、劇場公開時よりいまのほうがずっと知られているのは皮肉なものである。】
参考リンク:『となりのトトロ』とジブリの「転機」(琥珀色の戯言):歴代ジブリ作品の興行収入および観客動員のデータあり。
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今夜、『崖の上のポニョ』テレビ初放映。
あれだけ映画館でお客さんを集め、DVDも売れたりレンタルされてたりしてきた作品なら、いまさらテレビで観なくても……と思うのですが、テレビ放送、とくに初放送ともなれば、やっぱり「みんなと一緒に観てみようかな」という気分にもなりますよね。
いまや「スタジオジブリの作品」といえば「日本の国民的映画」と言うべき存在なのですが、ジブリ作品も、最初から現在のように広く受け入れられ、大きな収益をあげていたわけではないのです。
7億4200万円の配給収入(興行収入から映画館の取り分を引いたもの)を上げた『ナウシカ』に比べて、『ラピュタ』『トトロ』(『火垂の墓』との2本立て)は興行成績が落ちてきていて、『魔女の宅急便』が製作されていたときには、『宮崎監督の次回作は無いだろう』なんて、配給予定の東映のなかでも囁かれていたのだとか。
そこで、日本テレビと提携し、製作途中から出資してもらい、番組内でのPRに協力してもらった結果、『魔女の宅急便』は、21億7000万円の配給収入を上げ、その年の邦画のトップとなったのです。
実際のところ、『トトロ』以前と『魔女の宅急便』以降のジブリ作品には、興行収入の差ほど劇的なクオリティの差はないはずです。もちろん、近作ほどアニメーションとしての精度は向上しているのでしょうけど、映画としては、昔のジブリの作品のほうが好き、という人も、けっして少なくないはず。僕もジブリ作品でいちばん好きなのは『風の谷のナウシカ』ですし。
そんなにクオリティは変わらない作品のはずなのに、『魔女の宅急便』が、ここまでのヒットになったのは、やはり、日本テレビを中心とした「宣伝の力」が大きかったのでしょう。当時は、インターネットはなく「リアルタイムの口コミの力」も、今ほどではありませんでしたし。
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02月05日(金)
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