ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■「日本人は閉鎖的で外国人に冷たい」という嘘
「文藝春秋」2006年9月号の対談記事「ゴーン夫人とシャネル社長・ゴーン家の『夫操縦法』教えます」より。
(カルロス・ゴーン夫人のリタ・ゴーンさんとシャネル社長のリシャール・コラスさんの対談の一部です。コラスさんが、大学入学前の17歳の夏休みに日本に一人旅をしたときのことを思い出して)
【リタ・ゴーン:どうしてまた、地球の反対側の日本を旅先に選んだのですか。
リシャール・コラス:本当はアマゾンに写真を撮りに行く予定だったのがダメになって、エールフランスの機長をしていた父に「日本は素晴らしい国だから行ってみれば」と勧められたんです。父の日本土産の根付とその包装紙に使われていた浮世絵が家にあって、昔からキレイだなと憧れてもいたんですね。それに、日本に行けば夢にまで見たニコンのカメラを安く買えるかもしれない、と(笑)。
ゴーン:35年前の日本には、まだ外国人も少なかったでしょう。
コラス:でも、あの頃の日本人は、英語は話せなくても心をこめて迎えてくれました。僕はあのとき、自分が”ガイジン”だという思いをした記憶がまったくない。出会う人、出会う人がみんな親切で「泊まる場所が決まってないなら、うちにおいで」「どこかに連れていってやろう」と言ってくれる。40日間の旅で、ひと晩ユースホステルに泊まった以外は全部、日本の民家に泊めていただきました。夜行バスの後ろの席に座っていた青年に誘われて、彼の故郷の瀬戸内で盆踊りしたこともあった。
ゴーン:その精神はいまも変わりませんよ。「日本人は閉鎖的で外国人に冷たい」とよく日本人自身も言いますけれど、私は声を大にして反論したい。日本人こそ本当の意味でオープンな人々です。海外では、話し相手の発音やイントネーションが違うだけで「分かろうともしない、聞こうともしない」人々をたくさん見てきましたが、日本では、日本語のできない私が何か伝えようとしても、皆さん一生懸命「分かろう」としてくれます。日本人ほど一生懸命、人の話を聞こうとする人々はいません。
コラス:日本人の深い理解力、洞察力は、世界中を見渡しても他にない美点ですよね。いま鎌倉に建設中の新居に、純日本風の離れを造っているんですが、日本の大工さんというのは職人であるとともにアーティストなんです。木材を選ぶのにも「この樹齢700年の木の声を聴くんですよ」とおっしゃる。私は彼と話すたびに、その森羅万象に耳をすまし、理解しようとする態度に、日本文化の厚みを感じるんです。この深い理解力は、日本企業のビジネスマンの中にも生きているのではないでしょうか。
ゴーン:カルロスはいつも、日産で仕事をしたことが自分にとっていかに大きな財産になったか話しています。ものづくりに対する日本人の一生懸命さ、そしてそれに応える一部の消費者たちの厳しい視点に大きな感銘を受けたようです。
コラス:日本の消費者のレベルの高さを説明するときにいつも使う例え話があるんです。
以前ジバンシィに勤めていたときに、ブティックからドレスが一着戻ってきたことがありました。お客様が不良品だとお怒りだという。ところが見たところ、生地はキレイですし、カットもパーフェクト。唯一、裾から少し糸がぶら下がっているだけ。フランス人だったら、自分でハサミで切って済ませるでしょう?
ゴーン:(大きく頷いて)間違いなく、自分で切るわ。
コラス:参考までにアメリカ人に見せたら、気がつきませんでしたよ。ここに難があると説明しても、こんなのアメリカ人の感覚では難に入らないわよという感じで、日本人の求めるクオリティだけが特別に高いんです。
アメリカ人は、ものはプライスが低い方が良くて、食べ物も空腹が満たされればいいという考え方。アメリカ人の中にも洗練された人はいますけど、全体的に見たら日本人の方がずっと敏感です。ものには魂があるということを、ごく普通の市井の人々さえもが分かっているんですから。私どもの商品の価値が分かる、お目が高い方が多いはずです(笑)。】
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08月21日(月)
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