ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■トムとジェリー、仲良く禁煙しな。
時事通信の記事より。

【英国の子供向けテレビチャンネルで放映されている米国製アニメ「トムとジェリー」の中の喫煙シーンが、視聴者からの苦情を受けてカットされることになった。放送番組などを監督する英情報通信庁が21日、明らかにした。
 同庁は匿名の視聴者からの苦情を受けて調査を実施。その結果、「トムとジェリー」を放映している子供向けチャンネル「ブーメラン」が、喫煙を美化・容認するようなシーンのカットに同意したという。
 このアニメでは、主役の一方である猫のトムがメス猫に好印象を与えようとして手巻きタバコを吸うシーンや、トムのテニス相手が大きな葉巻をふかすシーンが登場する。
 同庁は「トムとジェリー」について、作品自体は評価しながらも、喫煙がさほど社会問題化していなかった1940、50、60年代に製作されたため、喫煙がごく当たり前のことであるように描写されており、見過ごせない点があると指摘した。】

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 僕自身はタバコは吸いませんし、タバコの煙は苦手です。子供の頃は乗り物酔いしやすかった上に、バスや電車の中でのタバコの煙でさらに気分が悪くトイレに篭りっきりになることもしばしばでした。職責上も「タバコの害」をアピールしなければならない立場ですから、この「カット」に関しては歓迎すべきなのでしょうけど、なんだかやっぱり、すごく「違和感」があるのも事実なんですよね。
 少なくとも、タバコは現代人にとって「健康に悪い」(ある種の癌の発生率を上げたり、血管障害のリスクを高めたりする)ことはわかっているのですが、だからといって、「歴史上の喫煙シーン」を「無かったことにする」のは、「正しい」ことなのでしょうか。いや、「正しい」か「正しくない」かで言えば、たぶん「現代人にとっては正しい」のかもしれないけれども。

 僕が好きな小説や映画の中にも、喫煙シーンはたくさん出てきます。『ノルウェイの森』なんて、嫌煙派である僕でさえも、読んだらタバコを吸うかビートルズを聴きたくなるくらいだし、昔の映画俳優がタバコをくゆらせるシーンのなかには、実に魅力的な場面も多いのです。でもまあ、もし彼らの「カッコよさ」を表現するためのアイテムが覚醒剤や大麻であれば、やっぱりそれを美化するようなシーンは御法度でしょうから、いまや、タバコというのは「麻薬」なのだというのが「喫煙シーン削除派」の言い分なのかもしれません。そして、「タバコは麻薬である」というのはひとつの「客観的な事実」でもあるわけです。
 でも、そう言い始めたら、「暴力シーン」とか「飲酒」とかはどうなんだ?というのもあるんですよね。
 僕自身は、人類にとっての「タバコの記憶」というのは、けっして全否定されるほど悪いものではないような気もしているのです。今でも、農作業の合間に手を休めて「一服」しているお年寄りを見ていると、「あんなふうにリラックスできる方法があるなんて、ちょっと羨ましいなあ」とか思ったりもしますし。医者としては「タバコは悪」なのですが、ひとりの人間としては、「体には悪いのかもしれないし、これから生まれてくる子供たちには吸わせたくないけれど、長年タバコに親しんできたお年寄りにまで、「タバコを吸うなんてバカだ!」と説教できるほど、僕は立派じゃありません。そりゃあ、マナーを守れない「迷惑スモーカー」には腹が立ちますし、「やめてくれると助かる」のは間違いないんですけど。
 戦争映画などで、束の間の安息の時間にタバコをふかしている兵士の映像を観ていると、「もしタバコが無かったら、何がタバコの代わりをしてくれるのだろう?」とも思うのです。もしタバコが無かったら、兵士たちは出撃前に「ニンテンドーDS」とかやっているのでしょうか。うーん、本当にそうなりそうで怖いな。


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08月22日(火)
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