ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■『ゲームボーイ』を変えた、任天堂・山内溥社長の「二つの逸話」
ところが、山内社長は、「開発陣が想定していなかった画面の見かた」をして、それが「見えにくい」ということにこだわりました。
おそらく、その場で開発側から、「社長、これはこういうふうに持って遊ぶんですよ、ほら、これなら見やすいでしょう?」と説明があったのではないでしょうか。
それでも、山内社長は譲らなかった。
すでにTN液晶の生産に多額の投資をしていたことも考えると、当時の任天堂の開発陣・経営陣は「社長、勘弁してください……」というのが本音だったのではないかなあ。
しかし、結果的に、この「選択」がゲームボーイの大成功につながったのは間違いありません。やっぱり、最初に触ったときに「画面が見にくい」と感じさせるのは大きなマイナスでしょうし、これは山内社長にとっても想定外だったのかもしれませんが、ゲームボーイによって、「晴れた日に屋外でテレビゲームをする」ことが「新しい常識」になっていったのですから。
結果的に、「限られた条件での最良を目指す」よりも、「どんな条件のもとでもそれなりに対応できる」ことを重視した山内社長のほうが、開発陣よりも「子どもたちの目線に近かった」ということなのでしょうね。この「鶴の一声」に誠実に対応した当時の開発陣もすごいとは思いますけど。
「堅牢性」の話にしても、車のように「事故を想定した安全性」が求められている製品ならともかく、「ゲーム機」のような精密機器は、ある程度「使う側が大事に扱ってくれること」が前提のはずです。
ところが、山内社長は「子どもたちはそんなふうに扱わない」ことを知っていたのです。
空爆でも壊れなかった、という話には、人類が絶滅しても生き残るゲームボーイ、みたいなシュールな想像もしてしまうのですが、「性能」を追及するあまり、実際にその製品を使うユーザーの実態が見えなくなってしまいがちな「技術者集団」のトップにこういう人がいるというのが、任天堂の「個性」であり「強み」だったのでしょうね。
しかしこれ、もしゲームボーイが失敗していたら、とんでもないワンマン社長のエピソードとして語り継がれていたかもしれないな……
10月13日(月)
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