ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■「史上最弱の横綱」一代記
この第34代横綱・男女ノ川関は、1903年の生まれで、横綱在位は1936年から1942年。同世代の第35代横綱に、あの69連勝で有名な不世出の大横綱・双葉山がいたというのはなんだかすごく皮肉な話です。「史上最強」と「史上最弱」のふたりの「横綱」というのは、弱いほうにとってはすごく辛かったはずです。男女ノ川関の成績や行状を見てみると、正直、「今みたいに『横綱になるための条件(相撲の強さとか品格とか)』が厳しく問われる時代では、絶対に横綱にはなれなかっただろうなあ」という気がします。まあ、ここ数十年でも、横綱になったまではよかったのものの成績が伴わずにすぐに引退してしまった力士(旭富士や3代目若乃花)もいますし、こともあろうにおかみさんを殴って廃業してしまった双葉黒関なんていう凄い「横綱」もいますから、男女ノ川だけがとびぬけて「異常」ではないのでしょうけどね。
それにしても、最近「負けるのが大晦日の風物詩」と化してしまった曙だって、少なくとも相撲取りとしては、はるかにこの男女ノ川よりは強そうではあります。そもそも、曙って、あのまま元横綱として相撲協会に残っていれば、人々の記憶には「貴乃花の強力なライバル」として語り継がれていたはずなのに。本人としては、「それでも闘いたかった」のかもしれませんが……
しかし、この男女の川という人は、なんだかとても不思議な人ではありますね。ものすごく反体制的で、大学の聴講生になるなどの勉強家の面があるかと思えば、選挙に出馬するのはお約束だとしても、いきなり私立探偵をはじめてしまうなんて。著者も書かれていますが、いくらなんでも192cmの大男に探偵は難しいでしょうし、そんなこと、普通に考えればわかりそうなものです。でも、この「元横綱」は、あえてその無謀な挑戦を行っているのです。どこまで「本気」だったのだろうかと疑ってしまいます。
この人は、体が大きかったり、力が強かったりしなければ、きっと、全然違う人生を歩んでいたのでしょう。もちろん「横綱」という頂点に立ったのだし、こうして歴史に名前を残しているのですから、その人生が100%不幸だったということもないとは思うのですけど。
こういう「横綱」たちの後半生って、周囲としては「相撲取りとして頂点を極めたのだから、あとはそれに恥じないように生きてもらいたい」と考えてしまいがちなのですが、本人にとっては、「相撲をやめても、人生はまだまだ続く」のですから、そう簡単に「隠居」するわけにはいかないのでしょうね……
05月27日(日)
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