ID:60769
活字中毒R。
by じっぽ
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■「清潔な調理場からでないと、美味しい料理は生まれない」
『至福のすし〜「すきやばし次郎」の職人芸術』(山本益博著・新潮新書)より。
【清潔。料理ではこれはもう言うまでもなかろう。「清潔な調理場からでないと、美味しい料理は生まれない」とは、フランス料理のジョエル・ロビュションの口ぐせであるが、けだし名言と思う。「掃除をしていて、しすぎるということはない。汚れたらすぐに拭けばいい。それが半日もたてば洗わなくてはならない。一日置いたら磨かなくてはならない」と小野二郎は店の者にそう言う。調理場での格言といってもよいだろう。
このように、優れた料理人は清潔であることに人一倍気を遣う。料理にたずさわる職人であるなら当たりまえのことだが、調理場や身のまわりのものの清潔さに常に気をつけている料理人には、おのずとその人自身に清潔感が漂うものである。】
(「すきやばし次郎」の「清潔さへのこだわり」についての、山本益博さんと小野次郎さんの話の一部です)
【山本益博:飲食店というのは、清潔というのがまずなによりも大切と思うのですけど、これがなかなかクリア出来るようでいてクリアできない。清潔であることが飲食店にとって何より大事という、そのお手本のような店が「すきやばし次郎」ではなかろうか、と。わたしの知る限り、日本一清潔な店だと思います。
日本一どころじゃない、「次郎」さんと同じくらい清潔好きというか、店の中がとにかく隅から隅まできれいになっていないとご機嫌が悪い、あのジョエル・ロビュションさん、その彼をいまから15年ほど前、こちらへ初めてお連れしたとき、ロビュション、店へ入った瞬間、自分の店より清潔な店を初めて見たって言ったんですよね。
それくらい清潔なんですけど、「次郎」さんは、もともと清潔好きだったんですか。
小野二郎:まあ潔癖は潔癖でしたね。だけど人に言われるほど清潔かどうか……。これでごく普通じゃないですか。
でも、保健所が来ると、うちの若い連中は、保健所よりかうちのオヤジの方がうるさいから、もっとよく見ていってほしいって言います(笑)。保健所の人はうちへ来ると、勝手口のところで靴脱いで入ろうとするんです。わたしら土足で入っているところ、あの方々は靴を脱いで入ってくる。土足でいいですよと言うんですが、本当にいいんですかと言うぐらい。保健所の人は今はうちへ来るのが5年にいっぺんぐらいですけど、表彰状は毎年来てます(笑)。
山本:すし屋さんはどこへ行っても、つい魚の匂い、酢の匂いがします。目をつぶってもすし屋とわかってしまう。それがすし屋ならではの匂いでいいとおっしゃる方もおありのようですけど、やっぱり絶対禁物ですよね。
二郎:いちばん美味しく食べていただくには、他の匂いが入らないほうがいいんです。すしはすし種と酢めしだけ、ですからそのものだけの味でないとダメですね。生臭い匂いなんてのはいちばん禁物です。
山本:やっぱり掃除が徹底してないと、流しの下のところなんかから、つい魚の匂いはすぐ匂ったり……。
二郎:わたしの店では、お勝手と調理場は、夜仕事が終わると、お湯を全部かけて洗わないことには、店は仕舞にならないんです。それをやらないと、どうしても匂いがだんだんだんだん重なっていって、しまいには匂いがついてしまう。
山本:若い人は掃除について、ブツブツ文句言わないですか。言わせない?
二郎:言ったらクビになります(笑)。
山本:その掃除、清掃にどれくらい耐えられるのかってのがありますよね。ロビュションはよく言います。「料理というのは、調理半分、掃除半分」だと。まず清潔を保てるだけの心がけというか、掃除がきちんと出来ない者は調理する資格がないと。
また、「コート・ドール」(東京・三田)の斉須(政雄)さん……。
二郎:あのお店もきれい。前に山本さんに連れていっていただいて食事したあと、厨房を見せていただきましたよね。隅から隅まで本当にきれいになっている。すごく刺激受けましたね。
山本:店が出来て10年以上経っているっていうのに、厨房はいつでも明日開店かっていうぐらい磨きに磨いてありますよね。その掃除について斉須さんに尋ねたんです。
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05月28日(月)
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