ID:54909
堀井On-Line
by horii86
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■6058,閑話小題 〜恐ろしい身近な現実 −3
            ―「不平等社会日本」佐藤俊樹著―
   * 金持ちサラリーマンと、貧乏サラリーマン
・あるサラリーマンの知人の数人から、次のような話を聞いて驚いたことがある。
『サラリーマン社会には役職以外にも格差がある。長男で持ち家などの資産と、
学歴の優劣と、連れあいの優劣と相性。共働きか否か。 これが長年かかって
甚大の格差を作り上げていく。学歴も両親の学力などの資質が大きく左右する。
代々の上司は、これらが揃っていた。情けないが、これは遺憾ともしがたい!>。
 知人に、長男で、土地持ちで、連れあいも正社員で、定年まで共働きで無事に
リタイアをして年金暮らしの人がいる。親会社の役員の何割かよりも収入も預金
が遥かに多い。人生、それだけではないとしても、愚痴の一つも言いたくなる
のも理解できる。 更に家系からくる文化度合も人生を大きく左右している。
・数年前になるが、中学の同期の男と卒業以来、初めて同席をした時、「エッ」
と、思ってしまう話を聞いた。 要約すると… 
『家に余裕がなく、中卒後、地元の大手メーカーに「金の卵」として集団就職。
その殆どの同期が夜間高校に通い、卒業と同時に公務員試験を受けるのが慣わし。
人気の一つが手当が多い消防士。何とか無事勤め上げ年金暮らし。火事場とか、
救急搬送が主なる仕事で、様ざまな家庭の人生模様を多く垣間見ることが出来た。
本当に恵まれていた!』と。「成るほど!」と地に足のついた人生に感じ入った。
  〜Amazonの読者レビューより〜
《…1955年から定期的に行われてきたSSM調査(社会階層と社会移動全国調査)を
 主な資料として本書が明かすのは、「実力でのし上がってきたが故に実力主義
社会を理想としているエリート層こそ、実は親から受け継いだ目には見えない
「財産」によって、しごく当たり前の階層に落ち着いていた」という悲喜劇だ。
そして、高度経済成長期に努力してのし上がっていたと思われがちな団塊世代の
時点において、すでに階層を決定する選抜システムは飽和し、閉鎖性が高まり
だしたと論じている。こうした階層化と階層の閉鎖性を是正させるために著者が
必要性を説くのが、選抜機会の多元化(学歴以外の選抜方法を増やす)と、世代
間での不平等感の緩和である。その例として「カリスマ美容師」を使って著者が
説明している箇所は、今となっては少し時代遅れだがユニークな発想で、詳しく
は本書を手に取ってみてもらいたい。
 そんな中、著者が論ずるのは「機会の平等」をいかに創出するかである。
しかし、議論していくうちに著者は「機会の平等」が、構造的に「後から」に
なってからしかわからない、という事実に気づく。 なぜなら、原因となる
「今の階層分布」と、結果として生まれる「未来の階層分布」の比較衡量が必要
なわけで、哲学的な命題のようだが、今は永遠に「未来」にはならないのだ。
そこで踏みとどまり「わからない」と言い切ったところに、著者の知性を感じる。》

▼ 「三つ子の魂」ではないが、そこで人生のベースが形成されているようだ。
 「この人には適わない人」と何人かクロスしてきたが、当時は何だろうとまで
考えるに至らなかった。「年間数百万かかる慶応幼稚舎からの一貫教育してきた
人と、公立のコースを歩んできた人とは格差が出るのは当然。鼻持ちならないと
しても… ベースの差だけはいかんともし難い現実。 この中で、
《ホワイトカラー上層部分(大企業や官庁の管理職)が団塊世代以降、受験と学歴
を通して閉鎖されるようになった。また「腕に覚えのある」ブルーカラー層の
開業率の低下により学校を経由しない補助的選択ルートが無くなったことも、
大きな変化と指摘している。学校選択ルートの」」・成功者たちは、平等という
競争という外観のために、階級意識なしに階級を構成するようになった。しかも、
これらの成功者たちは選択ゲームの敗者の意欲を削がないために偏差値批判や
学歴批判を行って成功について自己否定をして、同時にエリートの責任解除を
自ら行い続けている。… ⦆

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10月14日(土)
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