ID:54909
堀井On-Line
by horii86
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■5703,つれづれに哲学 〜限界状況
* ヤスパースの、『限界状況』
人生には誰もが「山あり谷あり」「晴れの日も、雨の日」もある。
節目には極限を遥かに超えるような事象が嵐のように、押し寄せてくる。
そして、最期に、まさか自分にという『死』が、覆い被さってくる。
それまでの日常では有り得ないような、心の苦悩と、肉体的苦痛が・・
その前の猶予期間の極限状況に、孤独と挫折を味わうことになる。
〜ネットで、『限界状況』を検索すると〜
≪ハイデッガーの”ライバル”の哲学者に、ドイツのカール・ヤスパース
(1883〜1969年)がいる。精神病理学者・哲学者・政治評論家などの
さまざまな側面があった。 ヤスパースもハイデッガー同様に”ナチス政権”
に大きく影響された。 妻が”ユダヤ人”であったことや、ナチスに対する
”反抗”で当時、教鞭をとっていたハイデルベルク大学を追われてしまう・・
その妻が 強制収容所”へ送致されることになり、夫妻は自宅に2人で立て
籠もって抵抗するが、”収容所移送”が決定されてしまい、もはや自殺する
直前まで追い詰められ、その移送予定日が あと数十日程度に迫った1945年
3月30日にアメリカ軍が彼の住むハイデルベルクを 占領したことで収容所
への移送を免れた。この戦争体験が彼の哲学に対して 大きな影響を与えた。
ヤスパースは、この経験から”限界状況”をテーマにした思想を構築した。
それは、人間には ”限界状況” というものがある。それは
”死” ・・・ 死んでしまう という状況
”苦” ・・・ 苦しみの状況・ さまざまなことで 苦悩する状況
”争” ・・・ 争い・闘争・戦争の状況
”責” ・・・ 罪を責めること ”人間の原罪”を責めること
これらは人間の”日常生活”を”粉砕” してしまう”人間の運命”と
されるもの。これは、人間の力、科学の力で克服できない状況。
”限界状況”の典型例が”自己の死”である。
ヤスパースは、「人間は普段、”気晴らしなどにふける”ことによって、
すでに”限界状況”の内にあることを 忘れてしまっている・・」とした。
人間は、その”現実”を”自覚”すると自分自身の“挫折”と”限界”を悟る。
そして なぜ人間には”限界”があるのか?・・ 等々、深く考えることになる。
また、この状況を”誰にも頼れない”・・と自覚することになり、
それまで感じたことのない”孤独”と”絶望”に 陥る。
そして、「人間とは 極めて”弱い存在”」と 自覚することになり、
そこで、「人間を”超えたもの”が存在するのではないか?」と考え始める。
それを”包越者”または”超越者”という表現で 表わそうする。
そして、「人間は、その”超越者”と”交わる”ことで「真実の生き方」
である”実存”に 目覚めてゆく」と主張した。
さらに”交わる”とは”自己開示”を意味しており、各人が自分自身に、
”閉じこもる”ことなく”他者”へと向かい自己自身の存在に対する意識を
”反省するべき”とも 説いた。 最終的には・・・
”超越的存在”に面することにより、自らの有限的な存在が”反省”させられ
その”超越的存在”に面している自己自身という自分の存在の”確信”が
得られる。これを ヤスパースは”絶対的意識”と説いたのです。≫
―
▼ 「業火に焼かれる」とは、よくいったもの。まさに、限界状況の中で
味わう苦悩。この苦悩を経て、絶対的意識に到達できる。弱い人間には
宗教が必要になる。死を前にして強い人間なぞは存在しない。人間の原罪を
それぞれが真正面から見つめること、そう、「正 中心 一点 無」で、
見続けることが、業火を少しでも和らげてくれる。人生には、四苦八苦、
四楽八楽、感動、感激、至高体験、激怒、業火の雨など、いろいろある。
どこ吹く風の少々の天然?が、現に存在している! 自分も?
・・・・・・
5338,構造主義とポスト構造主義 〜�
2015年10月26日(月)
* 構造主義とは 〜『世界の哲学・思想』小須田健著
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10月26日(水)
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