ID:54909
堀井On-Line
by horii86
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■5852,閑話小題 〜証人喚問の生中継
二階に居候させてもらった。 絵に描いたような話だが、その姉が貸家として
千葉市郊外の5万人ほどの新興住宅地の千城台に、貸家を持った直後だった。
姉、曰く、「ここは、数年で土地の値段が数倍になる。もうじき団地の真ん中の
四つ角が格安で売りに出される。あれは絶対買い得。」 そして、暫くすると
新聞広告に売り出し広告が出ていた。 千葉県土地供給公社が、「大規模団地
を造成し、購入希望者の抽選会を公開で行い、当選者に売却」とあった。
外れて元々と、申し込みをして、公開抽選会に行ってみた。 そころが5倍と
10倍の競合だった二箇所のうち、5倍だったところが当選したのである。
そこで実家に帰って父に告げると、にべもなく、ノー。「明らかに数年で二倍
になる権利を捨てることはない。私に買ってくれと いうのでなく、会社名義で
買うべきだ」と三日間、朝から晩まで父に張り付き、イエスの返事をもらった。
もちろん会社名義である。その売却条件が二年半以内の建物の着工。現場での
一年だけの現場経験では、まだ精神的体力が足りないのは自他とも認めるところ。
あと二年の経験が必要と当時、厳しさで知れ渡っていた金沢の「いとはん」
に二年の条件で入ることになった。その後、そこで私が何か事業を立ち上げる
前提があった。 成る程、「いとはん」は聞きしに勝る厳しさ。西友の資本傘下
に入った直後で、社内全体は動揺の渦の中。 金沢は加賀百万石の気風があり、
気位の高さと、どんよりした暗さと、人間味の深さがある独特の空気。
男は武士顔、女は京都顔。何ともいえない味がある。外づらは良いが、
内づらはウワサ社会の城下町である。社内は、被占領会社の惨めな空気が
ドップリと浸かっていた。 そして色いろあった一年半後に、実家の姉から
「父が末期ガンで、あと一年!」という知らせが入った。20歳の時に創業
人生を決めてから、この瞬間までが、「創業の準備期間」になった。
振り返ってみると、激しく厳しい経験だったが、全てが合理的。特に、
産能大の一年は勉学と、千城台の土地購入は人生を大きく変えることになる。
03月24日(金)
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