ID:54909
堀井On-Line
by horii86
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■5573,突然、余命宣告を受けました ー③
の木々を伐採して醜い宅地にしてしまうことに対する反対論を述べた。
「はじめにお話をさせてください。ミロのビーナスはパリのルーブル美術館に
所蔵される前、ベネチア芸術の美術商の手に入りました。この時すでに、この像
は人々の注目の的でした。そのポーズと着衣の優美なひだがこのビーナスに非常な
気品を与え、完壁な芸術作品から発せられる力をすべて持ち合わせた傑作でした。
人々はこの像を見るために遠くからやって来ました。そして時がたつにつれ、
像の人気が高まるにつれ、像には手を触れたすべての女性を美しくする力が
あると考えられるようになりました。美術商は、このビーナスの小さなかけらが
ほしいという大衆の要求を利用すれば、大もうけできることに気づきました。
ビーナスを見ようとたくさんの女牲がはるばる長旅をしてやって来て、小さな
かけらだけでもぜひ手に入れたいと願いました。持っていれぽ美しくなれると
信じていたのです。美術商はある計画を立てました。石膏でビーナスのコピーを
作って、そのあと本物のビーナスを粉々に壊してしまおうと考えたのです。
粉々にしてそのかけらを売れば、この芸術作品をまるごと売るよりも、はるかに
巨額のお金が転がり込むほずだと思ったからでした。そこで彼は、大金槌を
持っている職人たちをビーナスが飾ってある自分の店に呼び出しました。
「粉々に壊せ。壊して、千個のかけらにしろ」。彼は命令しました。
彼がはじめという合図をしようと腕を上げ、それを振り下ろそうとしたちょうど
その時、目に見えない剣に切られたかのように、彼の腕が体から切り落とされた。
それと同時に、ミロのビーナスの反対側の手も切り落とされました。
肉の腕と石の腕、二本の腕が床に落ちて十宇の形を作りました。
それはビーナスは決して壊されてはならないという神のお告げだ、と職人たちは
思いました。それから間もなく、ミロのビーナスはルーブル美術館のものになり、
今日にいたるまで、美しいものを愛するすべての人のために大切に保存されて
いるのです」 私は少しのあいだ黙った。部屋はしいんとしている。
人々の顔はビーナスの顔のように無表情だ。私は続けた。「この谷は、単なる
人間の彫刻家が創造したものではありません。この谷は、神様がお創りになった
芸術作品なのです。事実を把握しているであろう世界的な旅行家の多くは、
そびえ立つ孤峰と汚されていない湖がいくつもあるこの谷は、世界で最も美しい
谷だと宣言しています。かつてミロのビーナスが私欲のために彼女を破壊しよう
とした強欲な美術商の手にあったのと同じように、この谷も皆さんの手のなかに
あるのです」 私は演壇を降りた。・・・・ 】
▼ 自然破壊の是非の裁判で、こんな逸話を出されたら開発業者は、
勝てるはずがない。ミロのビーナスのこの逸話、聞いたことがあるような、
ないような? ネットで調べても、この話は出てこない。片方の腕に林檎を
持っていたという説がある。
06月18日(土)
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