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On the Production
by 井口健二
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■ペリリュー−楽園のゲルニカ−、チャップリン、アグリーシスター可愛いあの娘は醜いわたし
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
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『ペリリュー−楽園のゲルニカ−』
1975年生まれの漫画家武田一義が、太平洋戦争末期のパラオ
諸島ペリリュー島で起きた日米の闘いを描いた全11巻に及ぶ
戦争マンガのアニメーション映画化。
主人公は南国の島に駐屯する21歳の日本兵士。漫画家志望の
彼は戦友たちの姿を優しく描き楽しませていていたが、そん
な彼にある任務が与えられる。それは戦死した兵士の最期の
勇姿を遺族に書き送る「功績係」という仕事だった。
そして昭和19年9月15日、駐屯する1万人の日本軍に対し、
4万人以上とされるアメリカ軍の猛攻が始まる。その闘いに
元々勝ち目はなかったが、軍司令部はそれまでの玉砕戦術に
替えて本土攻撃を遅らせるための持久戦を命じる。
こうして島中に張り巡らされたトンネルや地下壕を使って神
出鬼没のゲリラ戦が開始される。それは夜陰に乗じて米軍の
糧食を盗み出すなど、戦闘とはかけ離れた戦いだったが…。
戦況的には殆んど無意味な作戦が続けられて行く。
脚本は1985年『プロゴルファー猿』や1989年からの『らんま
1/2 熱闘篇』などの監督を手掛ける西村ジュンジと原作者が
共同で執筆し、本作の監督は2017年『妖怪ウォッチ』シリー
ズなどの久慈悟郎が長編デビューを飾っている。
声優は板垣李光人と中村倫也。他に天野宏郷、藤井雄太、茂
木たかまさ、三上瑛士。またキヨサク作詞、Kazuyo Suzuki
作曲による主題歌「奇跡のようなこと」を上白石萌音が歌唱
している。
キャラクターは原作の漫画に倣って3頭身にデフォルメされ
ており、現実の戦闘シーンは想起されないように描かれてい
る。従って戦争マニアが喜ぶような闘いのかっこよさなどは
皆無と言える作品だ。
これによって全く無意味だった闘いの中でただ疲弊するだけ
の兵士の姿が印象的に描かれているとも言える。それは戦争
を反省してその無意味さを伝える意味では正しい描き方と言
えるものだろう。
その一方で襲来するアメリカ軍の掲げる星条旗の星が整列し
たものであることには感心した。星条旗の星は合衆国の州の
数を表しており、現行のものはアラスカとハワイが州になっ
た1960年代以降のもの。太平洋戦争当時とは違っている。
それがしっかり描かれているのは、戦争を正しく理解してい
る証しとも言えそうだ。
公開は12月5日より全国ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社東映の招待で試写を観て投稿す
るものです。

『チャップリン』“Chaplin: Spirit of the Tramp”
20世紀最高の映画スターと呼べるチャーリー・チャップリン
の姿を、その息子であるマイケル・チャップリンの目を通し
てさらに孫娘であるカルメン・チャップリンの監督で描いた
チャップリン家初の公認ドキュメンタリー。
チャーリーは1889年の生まれ、マイケルは1943年に再婚した
ウーナとの間の第2子(第1子はジェラルディン)ということ
でチャーリーが60歳近くなっての子供のようだ。従って父親
はすでに世界的な名優だった。
そんな訳でマイケルには常に父親の影が覆いかぶさることに
なるが、そんな息子の目を通して名優の姿が描かれる。そこ
には多分年を取っての子供であることの負い目もあったのだ
ろうが、それをカヴァーしようとする思いも感じられる。
その一方で、チャーリーには 1/8のロマの血が流れていたと
いう事実も紹介され、それはチャーリーが36歳の時に伝えら
れたとされるが、それ以前から気付いていた節も観られる。
そんな名優の出自も含めた生涯が描かれる。

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11月23日(日)
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