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On the Production
by 井口健二
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■ぼくの名前はラワン、モディリアーニ!、センチメンタル・バリュー
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※
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『ぼくの名前はラワン』“Name Me Lawand”
イラク出身のろう(聾)者の少年が家族と共に難民としてイギ
リスに渡り、イギリス手話(BSL)を学んで成長して行く姿
を描いたドキュメンタリー。
主人公のラワンはイラク・クルディスタンの生まれ。生まれ
つき耳の聞こえないラワンは他人とのコミュニケーションが
できず、常に家族の介助の許で成長してきた。しかしイスラ
ムの国家では未来は閉ざされている。
そこでラワンの一家は西欧に渡ることを決意し、難民キャン
プなどでの苦しい生活の末に支援者を得、危険なボートでの
航海などを経てイギリスに渡ることに成功する。そしてラワ
ンは初めて手話を学ぶ。
それは最初はコミュニケーションの不慣れなどからなかなか
上手く行かなかったが、同じくろう(聾)者の指導者などにも
恵まれ、徐々に心が開かれて行く。ところがそこに一家の難
民申請を見直す通達が届き、国外退去の可能性も出る。
この時ラワンが取った手段は…。
監督は、2010年に北米のオオカミ生息地を巡るドキュメンタ
リーで監督デビューし、2014年にはインディーズのミュージ
シャンにスポットを当てた作品がロンドン映画祭などにも出
品されたというエドワード・ラブレース。
ラブレース監督はイギリスに到着した直後に撮られた1枚の
写真でラワン一家のことを知り、2019年からラワンが通って
いたダービー王立聾学校の協力の許で彼の姿を撮り始めたと
いうものだ。
折しもイギリスでは手話を言語として認めることを定めた法
律の制定(2022年に成立)などが絡み、正にろう(聾)者の権利
の獲得などの流れの中で映画は語られている。それは当然の
権利として認められるべきものだ。
ただラワンがクルド人であったことが様々な動きの中でどう
影響したのか。特に後半語られる国外退去の問題がどう絡ん
でいるのかが少し曖昧に感じられた。もちろん本作のメイン
はろう(聾)者の少年の話で、そこはそれでいいのだが。
日本では社会問題化しているクルド人の立場がイギリスでは
どのように対処されているのか、本作とは別にその辺りが気
になってしまった。本作の結末がそれに絡んでもいるので、
余計に気になってしまったものだ。
公開は2026年1月9日より、東京地区は新宿武蔵野館、シネ
スイッチ銀座他にて全国順次ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社スターキャットアルバトロス・
フィルムの招待で試写を観て投稿するものです。
『モディリアーニ!』
“Modi:Three Days on the Wing of Madness”
1916年のパリ・モンマルトルを舞台に画家モディリアーニの
運命を変えた3日間を、1997年製作『ブレイブ』以来となる
ジョニー・デップの監督で描いた作品。
第一次世界大戦下、時折遠くからの爆音も聞こえるパリ市街
だが、そこに暮らす若き芸術家たちはそれぞれの目標に向か
って切磋琢磨していた。そんな中にモリディアーニは同じく
画家のモーリス・ユトリロらと共にいた。
ところがちょっとしたトラブルからモリディアーニは警察に
追われる身となり、一方のユトリロは軍隊に志願して生活の
安定を得ようとする。そんな中でモリディアーニはアメリカ
人コレクター来訪の情報を得る。
そこでモリディアーニはそのコレクターに面会して自らを認
めて貰おうと画策するが…。その3日間で画家の運命が回転
して行く。
出演は2019年11月紹介『9人の翻訳家』などのリッカルド・
スカマルチョ。他にアントニア・デスプラ、ブリュノ・グエ
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11月30日(日)
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