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On the Production
by 井口健二
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■潜行一千里 ILHA FORMOSA、無明の橋、少女はアンデスの星を見た、もしも脳梗塞になったなら、安楽死特区、もういちどみつめる
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『潜行一千里 ILHA FORMOSA』
2019年7月14日付題名紹介『典座 TENZO』などの空族=富田
克也監督が、現在の台湾文化を記録したドキュメンタリー。
元々は『典座 TENZO』をカンヌやマルセイユの映画祭に出品
した際に知り合った台湾人プロデューサーから「次は台湾で
撮らないか」と誘われ、そのリサーチを兼ねて台湾の原住民
部族を取材したという作品。
題名の『潜行一千里』は何とも大袈裟だが、空族では以前の
作品でも同様のドキュメンタリーをこの題名で製作している
ものだそうだ。そして副題の『ILHA FORMOSA』はポルトガル
語で「美しき島」、台湾の別名とされる。
そんな作品は、現在も16あるとされる台湾の原住民を訪ね、
その祭りなどが取材されている。因に台湾では先住民は既に
消滅した部族を指し、現存するものを原住民と称している。
中ではアボリジニという言葉も使われていた。
そして祭りは収穫豊穣を祝うもので、多くは日本の盆踊りの
ような輪になって踊るものが撮影されているが、そこに登場
する民族衣装の華やかなこと。恐らくは伝統のものなのだろ
うが、そこは日本とは違う感覚でもあった。
その一方で祭りで歌われる曲の中には沖縄民謡に近いものも
あったりして、その辺は文化的なつながりも感じられたもの
だ。そこからさらに原住民出身の歌手やラッパーなども登場
して若者文化とのつながりも探られて行く。
その発言の中では失われつつあった原住民の言語の問題も提
示され、日本を含む外国の支配の下で消滅しかかった言語が
現在では国語教育の一環として復活し、最大種族のアミ族は
20万人を超える人口になっているとも紹介されていた。
さらには2013年2月及び2014年7月で紹介した映画に描かれ
た『セデック・バレ』にも言及され、実に様々な側面で台湾
文化が紹介されている。とは言え作品はあくまでも映画の準
備活動の一環で、あまり深くは追及しない。
そこは残念とも言えるかも知れないが、それは2026年に撮影
される予定の空族の次回作で明らかにされるのだろう。そん
な期待も抱かせる作品に仕上げられていた。壮大な予告編と
しても良くできている。
それにしてもこういう文化が中国に統一されると失われるの
かな。そんなことも考えてしまった。
公開は11月22日より、東京地区は新宿K's cinema他にて全国
順次ロードショウとなる。また新宿K's cinemaでは空族特集
も同時開催の予定だそうだ。
なおこの紹介文は、配給会社空族の招待で試写を観て投稿す
るものです。
『無明の橋』
2019年12月29日付題名紹介『もみの家』などの坂本欣弘監督
が、地元富山県立山連峰の麓にある芦峅寺集落で3年に一度
行われる布橋灌頂会をモティーフに描くドラマ作品。
主人公は都会の美術館に勤める女性。その美術館では山岳信
仰絡みの展示が行われており、そこに掛けられた立山の曼陀
羅絵に彼女は心を惹かれる。そしてその中に描かれた布橋灌
頂会に導かれる。
それは女人禁制だった立山の麓で女性のために開かれる祭礼
で、そこでは三途の川に見立てられた川を渡って現世と彼岸
の間を行き来するものとされる。そして心にある思いを秘め
た主人公は祭礼に参加する。
その祭礼で女性たちは白装束に身を包み、目隠しをして行列
する。その行列では地元の女子高生が介添えをしてくれた。
やがて祭礼を終えた主人公は、帰り道でその女子高生と再会
し…。女性の秘めた思いの沁みる物語が展開する。
出演は、『もみの家』にも出ていた渡辺真起子と、2005年生
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10月26日(日)
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