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On the Production
by 井口健二
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■見はらし世代、ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師、ゾンビランドサガ ゆめぎんがパラダイス
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※
※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※
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『見はらし世代』
2025年カンヌ国際映画祭「監督週間」に日本人監督史上最年
少の26歳で選出された団塚唯我監督による長編デビュー作。
因に監督は以前に何度か紹介した「ndjc:若手映画作家育成
プロジェクト」の出身者とのことだ。
物語の背景は東京の渋谷。町の再開発で街区のスクラップ&
ビルドが続けられるこの街の片隅で、ある一家の崩壊と再生
が語られる。
物語の始りは10年前。両親と子供2人の一家は都会を離れた
別荘地に家族旅行に来ていた。しかし高速のサーヴィスエリ
アを経て旅先にやってきた父親に仕事の連絡が入り、父親は
家族を残してとんぼ返りしてしまう。
それから10年後、家族の長男は花卉店で胡蝶蘭の運配送の運
転手をしていたが、その配送先に父親の職場の名前を見付け
出す。そして蘭を持って父親の許を訪れた長男だったが、そ
の再会がぎこちないものだった。
一方、家族の長女は結婚を控えており、彼女は弟に引越しの
手伝いを依頼する。そしてやってきた弟は姉に父親との再会
を告げるが、姉の態度は全く無関心のようにつれない。そん
な板挟みに弟は苦悩することになるが…。
出演は2023年8月紹介『さよならほやマン』などの黒崎煌代
と、2015年8月紹介『木屋町DARUMA』などの遠藤憲一。さら
に2024年10月紹介『十一人の賊軍』などの木竜麻生。それに
井川遥。
他に菊池亜希子、中村蒼、中山慎悟、吉岡睦雄、蘇ィ淳、服
部樹咲、石田莉子、荒生凛太郎らが脇を固めている。
物語は渋谷が背景で、70年安保の時代から渋谷に出入りして
本作の試写も渋谷の丸山町界隈で鑑賞している自分にとって
は、正に自分の家の話のようにも思える親しみが湧いてくる
作品だった。
そんな渋谷の変革と重ね合さった家族の話だが、物語として
後半の展開は自分のテリトリーにも近くて大歓迎で、恐らく
こういう展開が今の映画ファンにも受けるのだろうが。個人
的には少し唐突に感じたかな。
それはもちろん伏線は敷かれていたものではあるが、そこま
での展開が巧みでリアルだった路線からは少し落差があった
感じもする。全体をこの話で行くなら前半にもっとギミック
があって欲しい。
逆に言えば本来のテーマの解決策としてこれは少し安易な感
じもしてしまう。それこそ deus ex machinaのような感じに
もなってしまったものだ。まああまりドロドロしたものを描
くよりはこの方が良いのかもしれないが。
なお冒頭書いた「ndjc」に関しては2018年、2019年と2022年
は鑑賞したが、団塚監督の作品が発表された2021年はcovid-
19禍もあって鑑賞が叶わなかった。でもここから次々に新し
い才能が巣立っていることには嬉しさを感じるものだ。
公開は10月10日より、東京地区はBunkamura ル・シネマ渋谷
宮下(ベストロケーション)、新宿武蔵野館、UPLINK吉祥寺他
にて全国順次ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社シグロの招待で試写を観て投稿
するものです。
『ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師』
“Bonhoeffer: Pastor. Spy. Assassin.”
第2次世界大戦期のドイツ。ナチスの政権下で信仰を守り、
遂にはヒトラー暗殺計画にまで参画した牧師の実話に基づく
物語。
ディートリヒ・ボンヘッファーは1906年生まれ。ベルリン大
学などで神学を専攻した後にバルセロナで教会の助任牧師を
務め、さらにはニューヨーク市の神学校に1年間留学する。
そして帰国後はベルリン大学で講師などを務めていた。
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09月14日(日)
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