ID:47635
On the Production
by 井口健二
[459546hit]

■ぼくらの居場所、次元を超える
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※
※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
『ぼくらの居場所』“Scarborough”
カナダの作家キャサリン・エルナンデスが実体験に基づいて
執筆したとされるデビュー小説を自ら脚本化し、ドキュメン
タリー映画で実績を持つシャシャ・ナカイとリッチ・ウィリ
アムスンの監督コンビに託して描いたドラマ作品。
物語の舞台はカナダ・トロント東部に位置するスカボロー。
高級住宅地とは言えないその町には、DVを逃れてきた母子
やシェルターで暮らしている先住民の血を引く一家、両親に
諍いの絶えない家族などが暮らしている。
そんな暮らしの中でそれぞれの家族の子供たちにとっては、
イスラム系の女性ソーシャルワーカーが責任者を務める教育
センターが唯一の心の拠り所だったが…。貧困や様々な差別
や虐待などが彼らの前途を険しいものにして行く。
出演はリアム・ディアス、エッセンス・フォックス、アンナ
・クレア・ベイテル。さらにチェリッシュ・ヴァイオレット
・ブラッド、アリーヤ・カナニ他。出演者の多くは現地の在
住者で、中には演技未経験の人も含まれているそうだ。
そんな作品だが、カナダのアカデミー賞とされる2022年のカ
ナダ・スクリーン・アワードでは11部門にノミネートされ、
作品賞を始め、脚色賞、監督賞、主演男優賞、助演女優賞な
ど8冠に輝いている。
現代社会における最も厳しい側面を描いたと言える作品で、
特にそれを子供の立場から描くことでその厳しさを一層際立
たせている。しかもそれを平易に描くことで誰の目にも理解
し易く表現している。
これは監督らの出自が上手く嵌ったと言えるかも知れない。
正に観察することでその奥深さも見えてくる。それは海外評
の中に2024年6月紹介『至福のレストラン』などF・ワイズ
マン監督の名前が挙がっていることでも納得できた。
つまりこの作品では、観客に無用な感情移入などを強いるこ
となく。冷静に事物を見せることで問題の所在を観客自身に
考えさせる。そんな手法が問題の重大を把握させ、より感動
を大きなものにさせる。そんなことを思わせる作品だ。
ただこの手法で全ての観客が自らの問題としてこの作品に対
峙できるかには懸念も生じるが。今やこの現実は地球に住む
人間が全て理解できる状況にあるとも言え、そんな現実が突
き付けられている感じもする作品だった。
公開は11月7日より、東京地区は新宿シネマカリテ、UPLINK
吉祥寺、渋谷の[シアター]イメージフォーラム(8日より)他
にて全国順次ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社カルチュアルライフの招待で試
写を観て投稿するものです。

『次元を超える』
2005年7月紹介『空中庭園』などの豊田利晃監督が窪塚洋介
と松田龍平を主演に据え、さらに千原ジュニアを加えた三つ
巴の呪術師の戦いを描いたファンタシー色の濃い作品。
最初の登場はジュニアが演じる阿闍梨。彼は山奥の修験堂で
怪しげな説法を行っている。そこには松田扮する暗殺者も来
ているが、エスカレートする阿闍梨の過激なパフォーマンス
にも動じることはないようだ。
そんな暗殺者は同行の女性から窪塚扮する修行者のの捜索を
依頼されており、やがて法螺貝の音に誘われるように暗殺者
は修行者と邂逅する。そして2人は次元を超えるめくるめく
旅へと突入するが…。
共演は、2023年12月紹介『青春ジャック 止められるか、俺
たちを2』などの芋生悠、2025年5月紹介『中山教頭の人生
テスト』などの渋川清彦。さらに東出昌大、板尾創路、祷キ

[5]続きを読む

09月07日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る