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On the Production
by 井口健二
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■こんな事があった、わたしは異邦人、原爆スパイ
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『こんな事があった』
1979年にデビュー作を発表して以来、監督作は5本のみとい
う寡作の松井良彦監督が、前作から18年を経て発表した渾身
の最新作。
時代背景は2021年夏。舞台は福島県の帰宅困難地区。そんな
立ち入りも制限されている場所を若者が徘徊している。その
若者の自宅は立ち入り禁止のロープで仕切られていたが、若
者は頓着しない。
そんな若者が警察に職質された時、近くにいた同級生が彼を
救う。そんな2人には様々な絡みがあるようだが…。やがて
若者は海岸で出会った男が営むサーフショップを訪ね、そこ
で暮らすようになる。しかし若者の苦悩は終わらない。
出演はお笑いコンビ「まえだまえだ」の弟で2025年4月紹介
『リライト』などの前田旺志郎と、2024年10月紹介『大きな
玉ねぎの下で』などの窪塚愛流。他に柏原収史、八杉泰雅、
金定和沙、里内伽奈、大島葉子、山本宗介。
さらに波岡一喜、近藤芳正、井浦新らが脇を固めている。
前回最後に紹介した『この夏の星を見る』が2020年の話で、
本作の時代背景はその翌年。どちらも主人公は高校生で、未
曾有の災害に翻弄された若者を描いている。しかし前回紹介
の作品が多少の闇はあっても未来への希望を描いていたのに
対して、本作はどうだろう。
因にどちらも実話に基づくものではなく、飽く迄創作された
物語だが、ほんの5日開けて観た両作の落差には唖然として
しまった。これはもちろん両作の優劣を語るものではなく、
どちらも真摯に描かれた作品だが。こんなにも違う2つの世
界が存在していることに驚愕したものだ。
そこは当然ながらネガティヴな世界を描いた本作の方がずし
りと胸に来てしまうが、こんな両極端な世界を続けて観られ
たことには感謝もしたくなってしまった。
それにしても本作に描かれた世界はフィクションとして凝縮
されているとはいえ、正しく日本の歪みが描かれているよう
で、ちょうど「東電経営者に責任はない」とする逆転判決が
出た直後の鑑賞には一層重くも感じられた。
この被害者たちへの責任は何処にあるのか、そこを深く考え
させられる作品だった。
公開は9月13日より、東京地区は新宿K's cinema他にて全国
順次ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社イーチタイムの招待で試写を観
て投稿するものです。
『わたしは異邦人』“Gündüz Apollon Gece Athena”
2024年東京国際映画祭<アジアの未来>部門で横浜聡子監督
らの審査員により作品賞に選ばれたトルコの俊英エミネ・ユ
ルドゥム脚本・監督による作品。なお映画祭時の上映邦題は
『昼のアポロン 夜のアテネ』というものだ。
主人公はイスタンブールで暮らす女性プログラマー。そんな
彼女が母親の姿を追って古代遺跡が残る地中海沿岸の都市シ
デを訪れる。そんな彼女にはフセインという若い男性が付き
添っていたが…。
実は彼女には幽霊と会話する能力があり、フセインも実際は
幽霊。そして彼の幽霊仲間の情報で彼女の母親の姿がシデに
あると伝わってきたのだ。そしてこの町で様々な幽霊と交流
する中で彼女は徐々に母親の足跡に近付いていく。
そんな母親は彼女が生まれて間もない頃に行方不明になって
おり、残された手掛かりはシデの町で写されたはずの古びた
写真のみ。しかしそこに隠された真実が驚愕の事態を生じさ
せることになる。
出演はエズキ・チェリキ、バルシュ・ギョネネン、セレン・
ウチェル、デニズ・デュルカリ。馴染みのない名前ばかりだ
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06月15日(日)
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