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On the Production
by 井口健二
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■天国の日々-4K-
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
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『天国の日々-4K-』“Days of Heaven”
2011年6月にも紹介した1978年製作テレンス・マリック監督
の出世作が監督自身の監修による4Kレストレイションで再
公開されることになり、試写が行われた。
物語の概要などは前回の記事を読んで貰いたいが、その物語
は旧約聖書の「申命記」というものに基づいているのだそう
で、正直にはちょっと不自然にも感じていた主人公らの関係
はそんなところに根拠があったようだ。
そんな物語だが、前回も書いたように20世紀初頭のアメリカ
農業の再現が凄い。それは雇われた農夫たちを運ぶ鉄道に始
まって蒸気機関のトラクターや果ては飛来する複葉機まで、
歴史民俗博物館のような風景が展開させる。
さらにそこから主人公たちを襲う災厄、また大規模な農園火
災など、旧約聖書にも描かれているという様々な出来事が見
事に再現されて行く。それは単なる物量ではなく、監督たち
の信念がさせたと思わせる見事な映像だ。
しかもそれを全て薄暮の状況で描くという監督の狙いから、
1日20分ずつの亀の歩みのような撮影で行ったというのだか
ら、それは信念というより執念と言った方が良いのかもしれ
ない。
そんな撮影を担当したのは本作でアカデミー賞🄬 を受賞した
スペイン・バルセロナ出身のネストール・アルメンドロス。
そして音楽は本作で初のノミネート獲得のイタリア・ローマ
出身エンニオ・モリコーネ。2人のヨーロッパ出身者が本作
を支えている。
作品そのものに関しては前回の記事に書いたので、今回は新
たに行われた4Kレストレイションについて蘊蓄を書いてお
きたい。
そもそも4Kとは映像の水平方向の解像度に関するもので、
その解像度が4000有るということだ。それが旧来のテレビで
言うHi-Visionでは2K=2000だった。これは当時のアナロ
グの放送技術では限界だったとされる。
これに対してディジタル技術の進歩が4Kを可能にしてくれ
たものだが、元々の2Kの画質はフィルムの解像度では16o
相当と言われており、それが4Kになって35oフィルム相当
の画質が得られることになったと言える。
つまり4Kでようやく従来のフィルムと同じになったと言え
るものだ。従ってこれを70mmに対応させるには8Kが必要に
なるし、さらにシネラマでは12Kということになる。でもま
あシネスコまでなら4Kで充分と言えるだろう。
そしてそのレストレイションを今回は監督自身の監修の許で
行ったということなので、これは正しくマリックとアルメン
ドロスが狙った映像が表現されていると言える。つまり本来
の映像がディジタルで再現されたものだ。
公開は4月4日より、東京地区はヒューマントラストシネマ
有楽町、新宿シネマカリテ、YEBISU GARDEN CINEMA他にて全
国順次ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社アンプラグドの招待で試写を観
て投稿するものです。
03月09日(日)
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