ID:47635
On the Production
by 井口健二
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■カオルの葬式、ホワイトバードはじまりのワンダー、雨の中の慾情
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『カオルの葬式』
TBS傘下の木下プロダクションで数々のドラマ演出やプロ
デュースを手掛け、監督した短編映画で内外17冠に輝いたと
いう湯浅典子共同脚本・監督による葬儀がテーマの作品。
女性脚本家が亡くなり、その遺言書で10年前に離婚した元夫
が喪主を務めることになる。そして指定された岡山県の山奥
の寺にやってくるが…。そこには彼女が遺した女の子とマネ
ージャー、業界の先輩や彼女の親友などが集まっていた。
そして地元の葬儀社と婦人会が取り仕切る葬儀が始まり、田
舎特有の荘厳な儀式が進められて行く。そんな中で主人公は
彼女との出会いや別れた理由などに想いを巡らせる。果たし
て遺された子どもの父親は?
出演は主に舞台で活動している関幸治、浅草生まれロンドン
育ちで2013年『47 RONIN』に出ていたという一木香乃、それ
に2019年7月28日付題名紹介『駅までの道をおしえて』など
の新津ちせ。
さらに足立智充、田中モエ、滝沢めぐみ、川島潤哉、蔵本康
文、木村知貴、大岩主弥、錫木うり、黒沢あすか、原田大二
郎。また1000人を超えるオーディションで選ばれた地元岡山
の劇団員らが脇を固めている。
なお共同脚本には湯浅監督の短編作品にも協力の西貴人が名
を連ねている。
試写会で配られたプレス資料には『お葬式』『おくりびと』
の題名が掲げられていたが、1984年の伊丹十三監督作品は同
監督のマニュアル映画の走りな訳だし、2008年6月紹介の本
木雅弘主演作も主旨はちょっと違う気がする。
強いて言うなら2009年10月23日付「東京国際映画祭」で紹介
の『青い館』や、題名が出てこないが確か中国映画でもよく
似た葬儀を真正面から描いた作品があったと思う。どちらも
宗教などのしがらみが巧みに描かれていたものだ。
そんな作品だが本作では如何せん登場人物が多過ぎる。それ
はまあ過去の話などが出て来て、そこはスクリーンサイズを
変えるなど分かりやすい配慮はあるのだが、それにしても過
去の話は必要だったのかな。
女性脚本家の人生を描きたかったなら他のやり方もあったと
思うが、葬儀のすったもんだとは全く脈絡のない話だし、そ
の間を繋ぐ工夫がもう少し欲しかった気もしたものだ。ただ
吉田美和の唄を絡めた辺りはほろりとさせられたが。
公開は11月22日より、東京地区は新宿武蔵野館他にて全国順
次ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社ムービー・アクト・プロジェク
トの招待で試写を観て投稿するものです。
『ホワイトバードはじまりのワンダー』“White Bird”
2018年3月紹介『ワンダー 君は太陽』の原作者R・J・パ
ラシオがその成功を受けて発表したとされる作品。その映画
化に前作のプロデューサーらが再結集した。
登場するのは前作で苛める側だったという少年。彼はそのせ
いで学校を退学処分になっているが、本人は別の理由で自主
退学したとして反省の色はあまり感じられないものだ。そん
な少年が祖母の許にやってくる。
そんな少年を前にした祖母は、自分が若かった頃のある出来
事を語り始める。それは少女とポリオに罹患した少年の夢見
るような交流の物語だったが、その背景には重い歴史の事実
が横たわっていた。
出演は前作と同じ役を演じるブライス・カイザーと、オスカ
ー女優のヘレン・ミレン。他に若手のアリエラ・グレイザー
とオーランド・シュワート、ジェム・マシューズ。
さらにジリアン・アンダースン、イシャイ・ゴラン、オリビ
ア・ロス、ジョー・ストーン=フューイングスらが脇を固め
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09月29日(日)
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