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On the Production
by 井口健二
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■ペナルティループ、DOGMANドッグマン、身代わり忠臣蔵
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※
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『ペナルティループ』
2020年発表のデビュー作『人数の町』が話題になったという
荒木伸二脚本・監督による第2作。前作はCOVID-19の影響で
見逃したが、2作ともにSF要素の強い作品のようだ。
物語のプロローグでは、アーティスティックな仕事をしてい
るらしい主人公の部屋から出て行く女性の姿が描かれ、次い
で同じ部屋で朝6時に起床してからの主人公の1日の行動が
描かれる。
そこで主人公は水耕野菜の工場でライン管理の仕事をしてお
り、そこにやってくる電気関係の業者らしき男性に薬物を盛
り、体調を崩した男性を襲って殺害、さらに男性の遺体を川
まで運んで流し去る。
ところが午前0時になった瞬間、主人公は再び朝6時に自分
の部屋で起床し、ライン管理の仕事からやってきた男性を殺
害、その遺体を川に流す行為が繰り返される。それは時間ル
ープに巻き込まれた主人公の姿のようにも見えるが…。
出演は2023年8月紹介『市子』などの若葉竜也、2023年12月
紹介『PLAY!〜勝つとか負けるとかは、どーでもよくて〜』
などの山下リオ、2019年1月20日付題名紹介『翔んで埼玉』
などの伊勢谷友介。
他にジン・デヨン、2023年8月紹介『キリエのうた』などの
松浦祐也、うらじぬの、2018年3月4日付題名紹介『蝶の眠
り』などの澁谷麻美、川村紗也、夙川アトムらが脇を固めて
いる。
主人公の陥っているのが時間ループではなくてヴァーチャル
世界。しかも犯罪被害者の遺族が復讐のために犯人を繰り返
し殺している世界だということは、かなり早い段階で観客に
説明される。
つまりこれは、犯罪被害者の遺族が「(犯人を)何度殺しても
飽き足らない」と言っていることを、字義通りに実現させて
いる世界なのだ。ただし監督はそこにある種の虚しさを同居
させて、字義通りではない状況に昇華させている。
それはテーマとしては面白いし、特に主人公と犯人との関係
の微妙な変化などは、物語の本質は正にそこを描きたかった
のではないかと思わせるほどものだ。とは言えそれが本作で
描き切れたかどうかには疑問を感じる。
それは主人公のアイデンティティがヴァーチャル世界に反映
されていることは理解されるが、それでは犯人側のアイデン
ティティは何処から来ているものなのか? まさか刑務所に
いる犯罪者が協力しているものではないだろう。
その辺の曖昧さが物語全体を薄っぺらなものにしているよう
にも感じてしまった。実際に犯人ではないものを殺しても遺
族は満足できないだろうし、その辺の辻褄をもっと突き詰め
て考えて欲しかったものだ。
その他にも、部屋を出て行く女性の存在が後からいろいろと
説明はされるのだが、こちらも本質の部分が曖昧なままで、
これももっと突き詰めればそれはそれで面白くなったのでは
ないかとも思わせる。
結局いろいろなポイントでもっと面白くなりそうな題材だけ
に、SFファンとしては少しもったいなくも感じてしまった
ものだ。
公開は3月22日より、東京地区は新宿武蔵野館、池袋シネマ
・ロサ他にて全国ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社キノフィルムズの招待で試写を
観て投稿するものです。
『DOGMANドッグマン』“DogMan”
2020年3月1日付題名紹介『ANNAアナ』などのリュック・ベ
ッソン脚本、監督で、ある意味、ベッソンが原点に戻ったと
も言える社会への復讐劇。
映画のオープニングは警察によって止められた大型車。その
運転席には女装で負傷した主人公が座り、警察が貨物室を開
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01月14日(日)
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