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On the Production
by 井口健二
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■梟−フクロウ−、水平線、PLAY!、ボーはおそれている
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※
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『梟−フクロウ−』“올빼미”
1392年から1910年までの 519年に及ぶ朝鮮王朝の歴史を記し
た「朝鮮王朝実録」において、毒殺されたとの記述が残る昭
顕世子(ソヒョンセジャ)の史実に基づくフィクション作品。
物語の主人公は盲目の鍼師ギョンス。彼は目が見えない中で
知識と技術を高め、脈を診ることもなく病名を言い当てるな
ど才能を発揮して見事に宮廷での職を得ている。そんな彼に
は守らなければならない病弱の弟がいたが…。
そんなある日、1637年の丙子の乱以来、人質として瀋陽に囚
われていた世子の帰国が実現する。しかし人質先の清で勉学
を積んだ世子と父王仁祖との間には確執が生じており、宮廷
には只ならぬ雰囲気が漂い始める。
それでも宮廷の健康維持に奮闘し、特に世子が祖国に残した
息子の健康を診ていたギョンスには世子も称賛の目を向ける
ようになり、夜間は僅かな視力が生じる彼に特別なレンズが
下賜されるなど親交も生じていた。
ところがそんな世子が突然病に倒れ、駆け付けたギョンスは
その病状に只ならぬものを感じる。そしてギョンスは暗闇の
中で世子が謀殺されたことを知ってしまう。しかもその首謀
者を示す証拠も存在した。
脚本と監督は2005年『王の男』で助監督を務めていたという
アン・テジンのデビュー作。2005年作もフィクション化され
た歴史劇だったものだが、本作ではさらにフィクションの部
分で見事な展開が描かれている。
出演は2019年11月紹介『スピード・スクワッドひき逃げ専門
捜査班』などのリュ・ジョンヨル。国王役には『王の男』や
2018年3月11日付題名紹介『タクシー運転手約束は海を越え
て』などのユ・ヘジン。
他にチェ・ムソン、チョ・ソンハ、パク・ミョンフン、キム
・ソンチョル、テレビシリーズで人気を得て本作でスクリー
ンデビューのアン・ウンジン、2023年2月紹介『不思議の国
の数学者』などのチョ・ユンソらが脇を固めている。
正直に言って朝鮮王朝の歴史などはたまに映画で見知る程度
で、ほとんど理解の外にあるものだが、それでもそこに盛り
込まれたフィクションの面白さが本作を際立たせている感じ
がする。
暗視の目という設定は2004年7月紹介『リディック』などの
先例はあるが、本作ではそれをしっかりと描き切っており、
ドラマや物語の展開も見事な作品と言える。これぞ歴史フィ
クションという感じの作品だ。
公開は2024年2月9日より、東京地区はヒューマントラスト
シネマ有楽町、新宿武蔵野館他で全国ロードショウとなる。
『水平線』
2008年5月紹介『ビルと動物園』などの俳優小林且弥が、同
作の監督齋藤孝の脚本を基に、2023年10月紹介『マリの話』
などのピエール瀧の主演で映画化した監督デビュー作。
主人公は福島県の港町で海洋散骨事業を営む男性。それは委
託された遺骨を細かく砕き、水溶紙に包んで船上から海に流
すというものだ。そしてその海は、津波で行方不明のままの
人々が眠る鎮魂の海でもある。
そんな男性の許に骨壺を持った1人の男が現れ、散骨を依頼
する。しかし必要な書類が揃っておらず、主人公は一時遺骨
を預かることにするが、その遺骨には曰くがあり、主人公は
トラブルに巻き込まれて行くことになる。
そしてそのトラブルは、周囲の人々や唯一人の家族である娘
との確執も生むことになり…。
共演は2019年8月4日付題名紹介『左様なら』などの栗林藍
希、2022年6月紹介『激怒』などの足立智充、2012年7月紹
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12月24日(日)
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