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On the Production
by 井口健二
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■イビルアイ、マルセル・マルソー沈黙のアート、ジョン・ウィック:コンセクエンス
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※
※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※
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『イビルアイ』“Mal de ojo”
2014年製作『パラドクス』と、2015年製作『ダークレイン』
という作品がいずれも「未体験ゾーンの映画たち」の特集で
上映されたメキシコの俊英イサーク・エスバン脚本・監督に
よる2022年製作のメキシカンホラー作品。
都会暮らしだった少女の妹が不治の病となり、彼女らの一家
が住むアパートにも原因不明の病気が蔓延し始めて、母親は
意を決したように家族を引き連れて実家のある田舎町に戻っ
てくる。そこには母親とは疎遠で、姉妹や父親も初めて会う
大邸宅に暮らす祖母がいたが…。
両親が治療法を求めて出掛けることになり、姉妹と祖母、そ
れに使用人の若い男女が邸宅で過ごす内、邸宅内には不穏な
空気が流れだす。果たしてそれは、映画のプロローグに登場
し、使用人の女性が寝物語で姉妹に語った魔女の物語の再来
なのか?
出演は、2012年6月紹介『コロンビアーナ』にも出ていたと
いう1950年生まれのオフェリア・メディーナと、2007年生ま
れで現地のテレビシリーズで頭角を現したパオラ・ミゲル。
他にイヴァーナ・ソフィア・フェロ、サマンサ・カスティー
ヨ、アラップ・ベスキーらが脇を固めている。
脚本・監督の前記の2作品は、時空のループやパンデミック
などSF的な要素も感じられる作品だったようだが、本作は
魔女ものでどちらかと言うとオーソドックスなホラー。コケ
脅かし的な演出も散見されて、ある意味原点に戻った作品と
も言えそうだ。
監督自身は本作の前には演出オンリーでSF作品を手掛けた
ということで、そんな感覚をリセットする意味もあったのか
もしれない。いずれにしてもオーソドックスなホラーを撮る
ことが次回作(SFであるにせよ、ホラーであるにせよ)への
飛躍につながりそうだ。
そんな訳で、本作だけで監督の技量などを計れるものではな
いが、オーソドックスなホラーをきっちりと撮れているとい
うことは、間違いなく力量はある監督と思える。監督の履歴
などを抜きにすれば、それくらいにしっかりとしたホラー作
品といえるものだ。
公開は7月28日より、東京地区はヒューマントラストシネマ
渋谷他にて全国順次ロードショウとなる。
なお本作はオンライン試写で鑑賞したもので、僕自身が鑑賞
中に映画に集中できなかったきらいはある。

『マルセル・マルソー沈黙のアート』“L'art du silence”
ドイツ・ケルン生まれで、チューリッヒ藝術大学の映画監督
学科を卒業、現在は同大学で映像と音についての講師を務め
るというマウリツィウス・シュテルクレ・ドルクス監督が、
フランス出身で「パントマイムの神様」と称えられるマレセ
ル・マルソーについて描いたドキュメンタリー。
実は監督の実父が聾者のパントマイマーなのだそうで、そん
な興味から本作はスタートしたのかな。そんな動機があるだ
けでも本作への取り組み方に深みが生じているようにも感じ
られる。
そして監督はマルソーのアーカイヴを紐解き、未亡人や2人
の娘、さらに孫までもがパフォーマンスの道に進んでいると
いう事実を紹介する。またマルソーが戦時中にレジスタンス
として活動していたという事実なども語られる。
その一方で、マルソーの直弟子のロブ・メルミンがパーキン
ソン病を罹患した中で、パントマイムを応用した療法を編み
出した話や、監督の父親が聾者によるパントマイムの可能性
を描くなど、多岐に渉る話が展開される。
ただこの多元性が観ていて集中を削がれるかな。特にレジス

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06月25日(日)
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