ID:47635
On the Production
by 井口健二
[459597hit]
■エリック・クラプトン/アクロス24ナイツ、逃げきれた夢、キャロル・オブ・ザ・ベル
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※
※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
『エリック・クラプトン/アクロス24ナイツ』
“Eric Clapton: Across 24 Nights”
史上最高のギタリストの1人と称されるミュージシャンが、
イギリス文化の殿堂ロイヤル・アルバート・ホールにおいて
1990年、91年に行ったコンサートの模様を、当時撮影された
フィルムを基に4Kで再現した作品。
近年はキツネ狩り禁止法に反対したり、COVID-19では陰謀論
に加担するなど音楽以外での言動が話題になってしまうクラ
プトンだが、僕ら団塊の世代には音楽に疎い自分でもギター
の神様として認識できるほどの伝説的な人物だった。
そんなクラプトンが、1990年は18日間、1991年には24日間に
亙って行ったライヴ・コンサートの模様が収められている。
そこでは4人編成に始まって9人編成や13人編成、そして最
後はロイヤル・フィルハーモニー・オーケストラとの共演ま
で、様々な形態が日々交代で公演されたものだ。
そんな公演の模様がマルチカメラで撮影され、それらが見事
な音響と共に、4Kの素晴らしい映像で再現された。特に神
業とも言えるクラプトンの指の動きは、音楽に詳しくなくて
も感服するものだった。それらが全16曲、全曲歌詞字幕付き
で提示される。
監督のデヴィッド・バーナードはライヴ映像の制作において
イギリスで第一人者と言われており、クラプトンの他にも、
レディオヘッド、ビヨーク、ペット・ショップ・ボーイズ、
アリス・クーパー等々、また2022年には宇多田ヒカルのライ
ヴ映像も手掛けているそうだ。
という作品だが、実は本編の中では1990年と91年が対比でき
る仕掛けにもなっており、特にオーケストラとの共演では、
1990年には何となくよそよそしさがあったものが、91年では
4人編成のメムバーも加わって見事な融和が描かれている。
その中でも、オーケストラの打楽器奏者が、この人は1990年
からノリノリだったのが、91年では正に超絶な演奏を披露し
ているのが微笑ましくも感じられた。
そして圧巻は1991年の“Knocking on Heaven's Door” この
演奏では最後にスタンディングオベーションではなく、楽曲
の後半から観客が総立ちで歓声を上げ、正にライヴそのもの
を映画の観客も実感できるものになっていた。
正しくファンには最高の贈り物と言える作品だろう。
公開は6月9日より、東京地区はヒューマントラストシネマ
渋谷、アップリンク吉祥寺、16日からは角川シネマ有楽町他
にて全国順次ロードショウとなる。
『逃げきれた夢』
2018年3月18日付題名紹介『枝葉のこと』などの二ノ宮隆太
郎監督が初めての商業映画として撮った作品。俳優でもある
監督が、所属事務所の先輩・光石研を主演に迎えて、光石に
宛て書きした脚本を映画化した。
光石が演じるのは定時制高校の教諭。家には妻と一人娘がい
るが家族との関係は冷えている。そんな主人公が毎日立ち寄
る定食屋で、その日は会計を忘れて店を出てしまう。そして
追いかけてきた店員に、病気で忘れると言うが…。
先週『オレンジ・ランプ』を見たばかりでこの台詞には興味
を惹かれたが、本作ではその後も思わせ振りはあるものの具
体的な症例などを描くものではない。というか何となく主人
公が言い訳で使っているような感じでもあった。
そんな訳でちょっと見誤ってしまう部分はあったが、映画は
主演者に宛て書きということで、光石にはこういう感覚があ
るのかなあという感じの作品ではあった。少なくとも後輩の
監督の眼にはこう写っているのかな。
[5]続きを読む
04月16日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る