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On the Production
by 井口健二
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■ソフト/クワイエット、70歳のチア・リーダー、オレンジ・ランプ
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『ソフト/クワイエット』“Soft & Quiet”
3月19日紹介『ハロウィン THE END』などのブラムハウス・
プロダクションの製作でかなりメッセージ色の強い作品。
主人公は「アーリア人団結をめざす娘たち」というグループ
を主催する白人女性。彼女は幼稚園の教諭だが彼女自身は子
供に恵まれていない。そんな彼女が妊娠検査をしているとこ
ろから物語は始まる。
その結果に落胆する彼女は自ら焼いたパイを持って主催する
会合に向かうが、そのパイにはある仕掛けが施されていた。
そしてそのパイを囲んで女性たちの意見交換が始まる。しか
しそれは会場を貸した教会の神父から苦言を呈される。
そこで彼女らは主人公の家に場所を移して会合を続けようと
するが、その道すがら立ち寄った会員の1人の店で東洋人の
客とトラブルが発生する。そしてその場は収まったものの、
それが思わぬ状況でエスカレートしてしまう。
そんな物語がワンショット風の映像で展開されて行く。
主演はステファニー・エステス。共演にオリヴィア・ルッカ
ルディ、エレノア・ピエンタ、ダナ・ミリキャン、メリッサ
・パウロ、シシー・リリー、ジョン・ビーヴァーズ、ジェイ
デン・リー・ヴィット。
この中でメリッサ・パウロは2013年6月紹介『スター・トレ
ック イントゥ・ダークネス』に出ていたようだが、他は主
にインディーズ作品が主戦場の俳優のようだ。これは多分作
品にリアリティを持たせる方策なのだろう。
脚本と監督は、カリフォルニア大学バークレー校で社会学士
を取った後にAmerican Film Institute で芸術修士を取得し
たというベス・デ・アラウージョ。長編デビュー作の本作で
はRolling Stone 誌のホラー映画Top 10に選ばれている。
映画はアンチテーゼとして描かれたものだが、最近の陰謀論
者ではこれを真に受ける者もいるかもしれない。そこで本作
ではある仕掛けが設けられているが、それが作品を甘くして
しまっていることは否めない。
作品的には、2008年9月にリメイク版を紹介したミヒャエル
・ハネケ監督の『ファニー・ゲーム』を思い出すが、監督は
ハネケほど狂気ではないというか、アートとエンターテイン
メントのせめぎ合いという感じもするところだ。
でも、日本やその他の国で、それぞれの国情に合わせたリメ
イクもしたら面白い。そんなことも考える作品だった。
なお、主人公らが被害者の家に到着した時の台詞が伏線とは
気付かなかったが、缶詰は重くても錘にならないことは明記
しておきたい。
公開は5月19日より、東京地区はヒューマントラストシネマ
渋谷、新宿武蔵野館他にて全国ロードショウとなる。
『70歳のチア・リーダー』“Calendar Girls”
原題からは2003年11月5日付「東京国際映画祭」で紹介した
イギリス映画を思い出したが、本作はスウェーデンの公共テ
レビ局と米国のプロダクションとの共同製作によるフロリダ
州が主な取材地のドキュメンタリー。
取材されているのは2005年設立というチアダンスチーム。設
立の年号からすると、上記の映画も無関係ではないのかな。
ただしこちらはヌードカレンダーではなく、傷痍軍人のため
の盲導犬、介助犬の育成及び認知度向上に向けた資金調達の
ためのカレンダーを制作しているそうだ。
そんなカレンダー・ガールたちの日々の活動は邦題の通りの
チアダンスの公演。チアダンスで地元の各種団体を応援しよ
うというものだ。そのための練習や衣装(髪飾り)づくり、さ
らに応援対象の団体に合わせた演出などが検討される。
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04月09日(日)
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