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On the Production
by 井口健二
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■光をみつける、Rodeo/ロデオ、アダマン号に乗って、修験ルネッサンス
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
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『光をみつける』
全盲でヴァイオリン奏者/ヴィオラ奏者/作・編曲家/講演
家と称する穴澤雄介氏の姿を追った作品。
ジャンルとしてはドキュメンタリー映画だと思うが、副題に
「ヴァイオリニスト穴澤雄介からのメッセージ」とあり、正
しくそういう感じの作品だ。
プレス資料に記載のプロフィールによると、穴澤氏は1975年
の生まれ、生まれつき目と心臓が悪く幼い頃に心臓の手術を
複数回受け、心臓手術は成功したものの徐々に視力が減退、
高校生時代に完全に失った。
学歴は筑波大学付属盲学校高等部本科音楽科、同専攻音楽科
卒業。COVID-19禍以前は年間 150本以上のライブ活動の他、
学校関係を中心の年間30回以上の講演活動を行う、とある。
本作はそんな穴澤氏の姿を追う。
作品内容としては、配信番組と思しきスタジオでのお絵描き
への挑戦や、ナレーターを務めた舞の海秀平氏との対談、陶
芸への挑戦などの様子も描かれるが、作品の本質は副題にあ
る通りの穴澤氏のメッセージだ。
それは障害を持つ人だけでなく、健常者にも将来への希望を
持たせてくれるものであり、特に今の時代には傾聴に値する
重要なメッセージになっている。増してや自分の未来に不安
を抱えている若い人たちには、ぜひ聞いて貰いたいものだ。
監督は永田陽介。村上龍監督作品の海外での映画賞やセール
スに関ったという人のようだが、監督作品は初のようだ。
という作品だが、実はプレス資料には書かれていないが穴澤
氏が語る自身の人生が壮絶で、それにはまいってしまった。
しかもそれを淡々と笑いも交えながら語る。その強烈さにも
衝撃を受ける作品だった。
そんな中で、目が見えない恐ろしさとして駅のホームから転
落したこともあると軽く語るシーンもあるが、実は自分の娘
が視覚障碍者の世話をする仕事についていたことがあり、娘
からはホームからの転落なんて日常茶飯事と聞かされていた
ことも思い出した。
折しも大阪駅地下ホームの開設で、ホームドアのない線路を
貨物列車が轟音を挙げて通り抜ける映像を観ていて、この恐
怖は如何ばかりかとも思ってしまったものだ。多様性の時代
を目指して発信するべき作品と感じた。
公開は5月30日より、恵比寿の東京都写真美術館ホール他で
全国順次ロードショウとなる。
『Rodeo/ロデオ』“Rodéo”
2022年のカンヌ国際映画祭ある視点部門で、本作のために設
けられたとされるcoup de coeur du jury 賞を受賞したフラ
ンスの新星ローラ・キヴォロン監督の長編デビュー作品。
主人公はバイクに跨る為に生を受けたと言える女性。物語は
彼女が盗まれた自分のバイクを探すところから始まる。そし
てネットで売りに出ていたバイクを見付けた彼女は、巧みな
交渉でバイクを奪い返す。
そんな彼女は公道で曲芸のような乗車を披露するグループと
出会い彼らに接近するが、女性は仲間に入れないとあしらわ
れる。それでも徐々に仲間の信頼を得た彼女はバイク窃盗の
一味として仕事をこなすようになるが…。
グループのリーダーは収監中で、盗みの指示は携帯電話を通
じて行われ、獲物のバイクは仲間のガレージで改造され転売
されていた。その一方で彼女には、リーダーの妻子の面倒を
見る仕事も割り振られる。
そんな中で妻子の苦境を感じた彼女はとある大きな仕事を思
いつく。それが成功すれば、リーダーの妻子も自由になれる
筈だった。
主演は、監督が脚本を書く合間の気晴らしに観ていたインス
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03月26日(日)
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